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月例 中国経済現地報告(過去分)
2020年度
No.299(2020.5)
〜「コロナ後」の“社会・経済実験”と中米覇権争い〜

〔報告のポイント〕
中国で初めて新型コロナウィルスの感染が報告された湖北省武漢市の都市封鎖が4月8日、約2カ月半ぶりに解除された。4月15日、香港の日刊紙『蘋果日報』は、当局が全人代を5月10日頃に開くと暫定的に決めた、と報じた。また、環球時報(英語版)は、全人代は5月か6月初旬との専門家の観測を伝えた。2月23日、中国当局は新型コロナ感染症対策とあわせ、金融を含むサービス業の対外開放の拡大など外資企業の誘致・定着などに関する会議を開催した。党中央政治局常務委員会は、2月から3月にかけての4回の会議で、各種経済貿易活動の正常化、対外開放の拡大と操業再開、国際サプライチェーンの円滑維持等の調整を行った。習近平国家主席は3月10日、武漢市を初めて訪問し、「感染拡大を基本的に封じ込めた」と発言した。それから約1カ月を経た4月第1週頃に、本格的な「正常化」に向けた助走を始めた。第14次5カ年計画(2021〜25年)、「小康」達成後の新たな国家目標の策定・提示など、年内に終わらせるべき課題は余りに重要である。世界で最も早く「正常化」に向け舵を切り始めた中国は、どのような「社会・経済実験」を展開するのか。2021年に 向けた「助走」とあわせ、中国の今後から目が離せない。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.298(2020.4)
〜米欧での感染拡大の中で中国内需への再評価の機運〜

〔報告のポイント〕
新型コロナウィルスの影響で1〜2月の社会消費品小売総額は前年同期比20.5%減、工業生産は同13.5%減、固定資産投資は同24.5%減となり、いずれも過去最低を記録した。第1四半期の経済実質成長率はマイナスになるとの見方が強まっている。通年で6%台を維持するのは難しい状況であり、10年ごとの所得倍増は改革開放40年余りの歴史で初めて未達に終わる可能性が強い。ただ、所得倍増(経済成長率)以上に本質的な今年の目標は、「小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的な完成」である。そして、その実現に向けた今年の最重要課題は貧困解消であるが、そのためには、必ずしも6%台の成長は必要とされない。3月に入り、感染が沈静化傾向を示していることを追い風に、最大限の経済成長を達成すべく、政府は経済回復に全力を傾ける考えである。中国が感染を「基本的に抑え込んだ」のは確かだとしても、「完全に抑え込んだ」との認識をいつ持つかは、全人代や政治協商会議の新たな開催日の発表が有力な目安となる。中国で終息が明確になったとしても、世界での流行が収まらなければ、経済はもちろん、日常生活の正常化にはほど遠い。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)

2019年度
No.297(2020.3)
〜感染の世界的拡がり続く;中国・世界経済の回復は緩慢か〜

〔報告のポイント〕
新型コロナウイルスは封じ込めの決め手がなく、今後の展開を予想することは難しい。2月の製造業PMI(購買担当者景況指数)は35.7ポイントと過去最低を記録した。全国人民代表大会(全人代)の延期が決まったが、その影響は大きいとは言えない。5年に1度の任期満了に伴う会議ではなく、任期延長の問題にも関係せず、国務院部委や各種国家機関の運営に影響を与えることは、ほとんどないからである。全人代の常務委員会は定期的に開催されており、主要議案はその会議で採決されている。国の意思決定メカニズムは機能している。より本質的な政治的問題は2つある。一つは、中国の国際イメージの悪化である。新型コロナウィルスの流行はダメージが大きい。もう一つは、今年は経済・社会に関する既定の重大政策を完了する最終年であり、「2021年以降の習近平の改革開放」の具体策を打ち出す年にあたる。小康社会の全面的建設という国家目標の最終年にあたる今年は最大限の努力をする必要があるが、相応の影響が出ることは避けられない。来年以降の中長期目標も不透明感は拭えない。今年秋頃に共産党第19期中央委員会第5回総会(5中全会)が開催され、第14次5カ年計画(2021〜25年)が公表されるはずだが、同会議が予定通り開催されるか、大きな注目点である。また、小康後の長期的な国家目標が5カ年計画とは別に準備され、ある程度の具体策とともに発表される見通しである。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.296(2020.1)
〜国有セクターのリスク管理と民間企業の積極的な育成〜

〔報告のポイント〕
2019年12月に開かれた中央経済工作会議とその後の議論で、今年の経済マクロ政策がほぼ決まった。来る3月の全人代(全国人民代表大会)で正式に発表される見通しである。改革開放政策に転換後、10年ごとに所得を倍増させる計画を進めてきたが、今年はその最終目標である「小康(いくらかゆとりのある生活)」の「全面的な完成」を図る。そのために今年の実質経済成長率の見通し(目標)を6.0%前後とする。物価上昇率は3.0%に据え置く。成長率予想(目標)が下がったため、景気刺激策を打ち出す余地を確保すべく、3.5%に引き上げるとの分析も中国ウォッチャーの間で出ていた。@名目所得増加率が鈍化する見通し、Aしかし構造改革を進めるべく大規模な財政支出はしない、B中東情勢の不安定化により原油価格高騰の懸念が強まった――などの理由から、実質所得の増加を最優先にすべく、引き締め気味のスタンスを固持するためと考えられる。一定の公的支出の増加から、財政赤字は対GDP比で2019年の2.8%から膨らむ可能性があるが、同3.0%以内に収める。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.295(2019.12)
〜影響力を増す大型国有企業と増大する民営企業〜

〔報告のポイント〕
中国はRCEPやCPTPPの推進に意欲をみせている。自由主義は、習近平氏が2021年以降に推進しようとしている「新時代の習近平の改革開放政策」の根本思想である。習氏が2020年までに終わらせるべき最大任務の一つが、“小康”(いくらかゆとりのある生活水準)の全面的な完成である。第4四半期に入り、ミクロの側面においては改善を示す数値が発表されている。1〜10月の中国の軽工業企業による売上高は前年同期比3.89%増の16兆500億元、利益は同10.03%増の1兆100億元だった。中国軽工業聯合会が12月初旬に開催した「軽工業の消費高度化とハイクオリティな発展」と題する記者会見で明らかにしたところでは、こうした好調さは、「ここ数年の科学技術イノベーションと標準ブランドの構築が拡大し、情報化と工業化の融合が進み、構造改革が進捗した」要因が大きい。雇用については、1〜10月の都市部新規就業者数は1,193万人で、通年目標の1,100万人を達成した。現在の6.2%という経済成長率は1,100〜1,200万人の雇用を生む計算である。12月初旬に李克強総理が主宰する国務院常務会議が開かれた際には、雇用安定に向けた複数の措置を実施し、柔軟な就業策を打ち出すことを決めた。障害者就業保障金制度を整備し、障害者の就職を促進することも決定した。法的手段で賃金未払いを是正すべく、『出稼ぎ労働者給与支払い保障条例(草案)』を採択した。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.294(2019.11)
〜国家統治問題と改革開放の新たな目標〜

〔報告のポイント〕
第3四半期の経済成長率は前年同期比6.0%増となった。これは通年の政府目標の下限である。今年1〜9月の成長率は同6.2%増だった。6.0%成長を達成するには、第4四半期に同5.8%増程度に下振れしても問題はない。第三次産業がGDPに占める割合は52%となった(1〜9月期では54%)。1〜9月期の成長率6.2%に対する第三次産業の寄与率は60.6%に達した。第3四半期の産業部門別付加価値増加率では、製造業は同4.8%増、建設業は同6.1%増、IT関連は同18.0%増となった。成長鈍化は米中対立の長期化や世界経済の減速などの外部要因だけでなく、習政権下で加速した経済・産業構造調整に起因している。貿易は、9月の輸出は前年同月比3.2%減、輸入は同8.5%減で、いずれも減少幅は8月から拡大した。9月の貿易収支は396億5,000万ドルで、8月から拡大した。9月に米国が1,250億ドル相当の中国製品に15%の制裁関税を発動し、中国が対抗措置をとった。これによる両国の貿易への影響、世界経済の減速、制裁関税の発動を控えた駆け込み効果が剥落したことなどが、9月の貿易低迷の理由として挙げる向きが多い。国家統計局は、「最近の経済指標には改善が見られるとして、第4四半期には落ち着く」との見通しを示した。政府は経済・産業構造調整最優先の立場から、大規模な財政支出や金融緩和は行わない方針だが、一定度のインフラ投資の拡大や消費喚起などの景気対策を実施する見通しである。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.293(2019.10)
〜香港の混乱と中国の「第2の改革開放」〜

〔報告のポイント〕
今年6月に始まった香港の反政府活動に終息の兆しは見えない。活動家の攻撃の標的は、中国ビジネスが活発な外資企業にも拡がっている。特に香港を中国(華南)とASEANの全体・一部を統括する場所として活用しているのが日本企業である。中国は10月に建国70年を祝った。2021年から「習近平の改革開放」が始まる。習氏は2021年以降を2期に分ける。2021〜35年の目標は「基本的に現代化された社会主義の実現」である。習氏は達成期限を15年早めて2035年とし、残余の15年(2050年まで)の期間の目標として、「富強・民主・文明・調和・美しい社会主義現代化強国の完成」を打ち出している。経済規模(GDP)の増大よりも文化、環境・生態保護などを重視し、世界を牽引しうる価値観(ソフトパワー)を備えた「強国」を建設するのが、今後30年余りの国家目標といえる。この国家目標は抽象的だが、目標達成に向けた手段の一つが一帯一路構想である。一帯一路は経済発展戦略というよりも、文化、社会的、環境・生態的な観点を重視する構想とみるのがふさわしい。国内で推進されている新型城鎮化政策(小都市発展政策)やICT、それと相互依存的に形成が進む新たな人間関係を活用した新産業の創出なども、新たな時代の新たな国家目標を構成する。このような新たな国家目標のなかで香港・華南は、どのような位置を占めるのか。この問題が今回、香港で大規模デモが発生し、長期化している背景と考えられる。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.292(2019.09)
〜内需拡大への自信;中米通商摩擦の激化にも冷静を保つ中国〜

〔報告のポイント〕
経済成長率目標が恐らくなくなる2021年以降の主要な課題は、世界秩序の再編である。米国との摩擦が起こることは歴史の必然とも言え、中国政府にとっては織り込み済みである。国家統計局の発表によれば、1961〜78年の中国の世界経済成長に対する年平均寄与度は1.1%だったが、2013〜18年は28.1%となり世界一となった。中米対立は「貿易不均衡問題」を越えて覇権争いの様相を鮮明化。中米の覇権争いは、どちらかが優位に立ち、勝利するという事態は考えにくい。順位(優劣)に拘泥するのは米国であり、中国は中華文明と欧米文明との「併存」を提唱する(国を単位として世界を捉えた場合、「併存」するのは米国のみであり、米国以外の国は自らの下位に位置づける)。8月に入り、中米両国とも早期の合意達成は不可能と考え始めたようにもみえる。中国は世界秩序再編の枠組みであるG2達成のため、米国との決定的な対決は避けたい。ただ、経済面の「通商摩擦」に関しては、合意達成を急ぐ必要はないとの余裕すらうかがえる。内需拡大により、経済・社会の安定維持に自信を深めているようにみえるからである。西側諸国によって、「非民主的で、市場経済国家に認定されていないゆえに政治的不安定性を内在する」と長く考えられてきた中国は、ついに安定化の段階を迎えたようにもみえる。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.291(2019.08)
〜経済・産業構造調整の進捗と米国へのいら立ち〜

〔報告のポイント〕
上半期の経済成長率は前年同期比6.3%増となった。5月上旬に中米貿易協議が決裂し、双方が追加関税を引き上げたことで企業投資や消費マインドが冷え込んだ要因もあるが、習政権が断固とした姿勢で経済・産業構造調整を進めていることの要因も大きい。中国政府は今年の成長率目標を6.0〜6.5%増とするが、その目標達成に関して危機感を持っている様子はない。下半期に5.8%成長を実現できれば、6.0%成長は達成できる。また「経済・産業構造調整」とは、単なる経済的概念というより、社会経済的概念である。「持続的成長」の考え方と同じく、生態環境の保全や人間の幸福感を重視する考え方であり、中国にとっても高成長の達成は重要課題ではない。しかし、生態環境の保全や人間の幸福感は主観性を特徴とする。いずれもGDPのような数学的指標への集約化が難しく、四半期ごとの定期発表も不可能である。我々(「民主的政府」をいただく資本主義国)は、各種財の生産・貿易動向やGDP統計などに目を奪われがちとなる。これに対し、中国は「民主的政府」を持たず、社会主義市場経済を標榜するゆえに「持続的成長」や「経済・産業構造調整」に舵を切りやすい。我々は、近年の中国について「経済(指標)至上主義」から離れて評価する態度を持つべきであろう。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.290(2019.07)
〜開放の加速を通じて中米摩擦の克服とグローバル化の潮流をいかす〜

〔報告のポイント〕
大阪でG20サミットが開催された。米-中、米-露、米-EU関係などがぎくしゃくとし、各国とも身動きが取れないなか、大きな注目を集めたのは習近平氏の「重要演説」と中米首脳会談だった。中米会談では貿易協議の再開で合意し、第4弾の追加関税措置を先送りすることを決めた。華為への制裁緩和も発表された。来年の選挙で再選を目指すトランプ大統領の胸中で米国経済にもダメージが大きい対中制裁を一定度緩和させたい、との思いが強まってきたためと見る向きが一般的である。しかし、対立の本質が覇権争いである以上、両国が軋轢のない関係に戻る可能性はほとんどないといえる。注目されるのは、こうした状況にあって、中国が対外開放を一気に加速させていることである。習氏の「重要演説」のほか、7月に大連で開かれた「2019年度夏季ダボス会議」開幕式で李克強総理は開放拡大に関する「特別なスピーチ」を行った。また、国務院国家発展改革委員会と商務部が2019年版の「外商投資参入特別管理措置」「自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置」、および「外商投資奨励産業目録」を発表した。これらにより全産業部門を網羅する開放を一段と進め、さらなる内需拡大も見込む。現在の中米摩擦は太平洋をまたぐ補完関係を弱めつつ、中国が新たな最終需要地に躍り出る契機となるかもしれない。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.289(2019.06)
〜中米対立と第三国企業:中国の成長持続の見通しの中でどう構えるか〜

〔報告のポイント〕
米国の「中国つぶし」は激化する一方だが、影響は世界経済や第三国企業にも及び始めている。米国は米政府の許可なく米企業から部品などを購入することを禁止する「エンティティー・リスト」に、華為と関連68社を追加した。これに対し、中国政府は「信頼できないエンティティー・リスト」を構築すると発表した。リストに掲載されれば、米国企業のほか日本企業なども法律や行政措置に基づく「強硬な処罰」対象となる。同リストにおいて「レッドライン」となるのは、4つの基準に抵触した場合という。「外国政府の扇動」により、中国企業に対し、@封じ込めの行為、A市場ルールや契約精神に反する行為、B中国企業に実質的な損害をもたらす行為、C中国の国家安全を脅かす行為を行った場合である。中国国家発展改革委員会は、海外大手IT企業の幹部らを招集したと伝えられた。中国当局が国内外の企業を召集し、当局の見解を伝えることは珍しくなく、今回の会議も「融和的な雰囲気」で進行し、企業への警告という性格のものではなかったという。ただ、米政府の禁輸措置を順守し、技術輸出を打ち切った場合、業界全体にとり「複雑な状況」や「深刻な結果」に直面するだろうと伝えられたと報じられている。「状況を完全に把握する前に、十分考慮せずに早まった行動を取ることを控える」よう求められたとも伝えられている。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.288(2019.05)
〜中米摩擦の中で経済成長の“質”の改善をさらに進める〜

〔報告のポイント〕
中国の2018年の実質経済成長率は前年比6.6%で28年ぶりの低水準となった。2019年通年の政府目標は6.0〜 6.5%だが、達成は難しくない。2020年の「所得」(GDP)を2011年比で倍増する目標は、2018年までの実績から計算して、今年と翌年の成長率が6.1〜6.2%あれば達成できる。政府目標を6.0〜6.5%と幅のあるものを提示したのは、中米対立の影響が読み切れないからと考えられるが、経済成長率は今日、中国国内ではほとんど問題視されていないともいえる。6.1〜6.2%成長の達成が容易であることに加え、21世紀初頭の胡錦涛政権が経済発展の目標を「量」から「質」に転換したり、内需拡大や経済サービス化など構造改革に重点を移しているからである。また、習近平政権は、2018年に「改革開放40年の目標を達成した」との認識を持っている。この意味において、「中米対立の中国経済への影響」といった議論そのものが意味を成さないともいえる。中国政府が気にかけているのは、米国との「G2世界分割統治」の実現、つまり「対抗」ではなく、米国との「共存」を阻む米国の「中国脅威論」や「反中」「嫌中」意識の高揚と考えられる。この意味で中国政府は今後、米国との交渉が物別れに終わったとしても強い米国批判はせず、対米関係改善の方途を探るとみられる。WTO改革やRCEPのような地域経済統合構想についても「経済成長率への影響」という観点ではなく、「米国との共存」「G2世界分割統治」という政治的意義の点から関与すると考えられる。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.287(2019.04)
〜「先進国化」への挑戦:“小康後”の世界〜

〔報告のポイント〕
習近平政権下で明確化してきたのは、「小康」(基本的な生活に困らず、ややゆとりのある生活水準)達成後の新たな国家目標を何にするか、それをどのように進めるかである。中国のGDPは世界第2位だが、人口一人平均GDPでは世界第74位である(2017年時点。以下同じ)。両社のギャップ(74マイナス2=72)は世界最大。中国の「先進国化」を、人口一人平均GDPを世界の上位30位以内(日本は第25位)程度に増やすこととしても、その実現はきわめて難しい。中国の「先進国化」は、様々な内部・外部条件の中で追求しなければならない。中国の「先進国化」の将来像として、習氏は「中国の夢」や「中華民族の偉大な復興」を掲げる。これに対し、米国は自らへの挑戦と捉える。しかし、われわれは「中国の夢」や「中華民族の偉大な復興」について、現在の先進国をモデルとして経済大国化や軍事大国化を進め、ついには米国を凌駕して様々な世界ランキングでトップに立つこと、と単純に解釈すべきではないだろう。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)

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