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月例 中国経済現地報告(過去分)
平成30年度
No.278(2018.07)
〜対外開放政策の一段の推進〜外商投資参入ネガティブリストとFTA〜

〔報告のポイント〕
産業・経済構造転換の要請、中長期的な成長戦略、米国との通商摩擦の激化などを背景に、中国は対内直接投資 規制の緩和やFTAを通じて市場開放を加速している。海外からの製造業投資が直接投資全体に占めるシェアは 2010年に50%を下回り、2017年は25.6%まで低下したが、今年1〜5月期は29%余りまで上昇している。また、 輸出総額に占める外資企業のシェアは2012年に50%を下回り、今年1〜5月期は41.7%まで低下した。輸入も 2017年に46.8%まで低下し、今年1〜5月期は43.6%まで下落した。製造業投資が純粋にモノづくりに関連した 投資かどうかは不明だが、外資企業の活動が、国内調達→国内生産→国内販売型に変化していると考えられる。 消費市場も米国に次ぐ世界第2位の規模を持ち、中国市場は魅力を増している。中国の通商政策で興味深いのは、 産業の国際競争力強化策や市場開放を推し進めても、単なるナショナリズムに基づく自国企業・産業の保護、 経済安全保障の観点からの産業保護ではなく、生活環境問題としての第一次産業や地域ごとの多様性の保持を目的 とする「保護主義」の志向を手放さないことである。米トランプ政権が繰り出す対中制裁措置は、中国のアジア 接近を加速し、アジア経済の一体化をさらに進める契機となる可能性がある。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.277(2018.06)
〜経済大国の自画像の把握と対外摩擦〜

〔報告のポイント〕
今日の時点で第13次5カ年計画(2016〜20年)の目標は、ほぼすべてが達成される見込みである。江沢民氏が1997年に提示した「小康社会を全面的に築き上げる奮闘目標」も優に達成される見通しである。このような消化試合の様相から、習近平氏は「二つの百年」(党創立100年の2021年と、建国100年の2049年)を見すえ、長期にわたり「新時代」の建設にまい進する算段ともみられている。順調に見える習体制の視界を曇らせるのは唯一、 トランプ政権といえる。世界第2位の経済規模を持ちながら、一人平均GDPでは世界中位にとどまる中国の行方を占うのは、国際社会での立ち位置の確立である。国民一人平均所得を増やすという政策行為自体が、米国との摩擦を惹起してしまう。地球環境にのしかかる負荷を考えれば、中国の物質的発展は地球規模の問題でもある。仮に今日の中国の一人平均GDPが米国と等しいとすれば、中国のGDPは2017年値の7倍、米国の同4.4倍となる(84兆ドル)。中国一国だけで今日の世界合計GDP(80兆ドル)を上回る。このような観点から見れば、むしろ異次元の国家として中国を捉え、物質的発展に代わる新しい価値観と、地球上にふさわしい位置を与える斬新な知恵が求められているのではないだろうか。中国が人口、人々の物質的欲望・将来への希求、他国の出方、地球への負荷などを天秤にかけつつ政策を考えているのも、また間違いない。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.276(2018.05)
〜「自由化」の推進を通じた「より高度な開放」の模索〜

〔報告のポイント〕
第13次5カ年計画(2016〜20年)の最大の政策課題の一つは、「新時代」における「より高度な開放型経済」の追求である。20世紀末まで、社会主義市場経済の枠組みのなかで「外国のものを謙虚かつ選択的に受け入れる」という慎重な受け身姿勢を保持してきた。それは輸出加工区の設置に典型的に現われた。しかし21世紀に入り、「自ら外に出て、外部状況それ自体の変化を働きかける」姿勢が現われ始めた。江沢民→胡錦濤→習近平と政権が移るなかで「国家主義的姿勢」が鮮明化した。現時点でこの趨勢の先端にあるのが、米国との「新型大国関係」の構築と一帯一路戦略である。他方、「国家主義的姿勢」が国内的に抑圧的かは別問題である。「経済に完全には拘束されない社会」の出現を新たな国づくりの好機と捉え、中国当局は既得権益層の打破を目標に掲げ、起業促進や供給サイド改革という名の自由化政策を習氏の「独裁権力」の下で進めている。自由化を手段に、対外的には「国」を前面に押し出す形で国際秩序の再編を目論み、対内的には「社会」の自律を容認・促進し、持続的な経済発展とともに社会・国家の安定を図ろうとしているのが「新時代」の中国の姿といえる。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.275(2018.04)
〜全人代:「共産党/改革開放の中国」から「習近平の国家」へ〜

〔報告のポイント〕
今年3月に全国人民代表者大会(全人代)が開催された。今年の全人代は、昨年の党大会が共産党権力を相対化し、国家権力の増強を打ち出したため、政府や党の地位は後退し、国家主席である習近平氏の存在感が際立った。全人代では「新時代の中国の特色ある社会主義思想」を遂行すべく、憲法改正と国務院(政府)機構改革が行われた。政策の重点を経済発展から社会・文化の充実へと変え、経済発展の目標も「国・企業の富の増大」から「個人生活の質」の向上へと変更し、そうした価値観に基づいて米国との新型大国関係の樹立を軸に国際秩序の再編につなげる法的枠組みと機構を整えた。習氏の思想の特徴は「中華民族が支える国家としての中国」を強調し、その国家をけん引役として国際秩序再編を成し遂げようとするところにある。しかし、全人代の開催期間中に、米トランプ政権が中国等への貿易赤字、知財侵害等に絡む制裁措置を打ち出したことで、政権にとっては出鼻をくじかれた形となった。李首相の施政方針演説では、今年の経済成長率目標が昨年と同じ6.5%前後と発表された。2020年までは同目標が保持されるとみられる。「新常態」の経済拡大ペースを基に、さらなる自由化を進める。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)

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