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月例 中国経済現地報告(過去分)
平成30年度
No.285(2019.02)
〜債務削減、内需拡大、中米交渉の3つの課題をどう解決するか〜

〔報告のポイント〕
中国の2018年の実質経済成長率は前年比6.6%の増加となった。2018年の政府目標である「年率6.5%前後」は達成した。経済成長率の低下については、中米対立による関税率の引き上げや同問題の心理的な影響を指摘する向きが少なくない。しかし、中国の喫緊の課題と考えられている構造改革に支障が出ている兆しはない。経済成長率が鈍化する中にあっても個人所得や雇用が増えているのは、都市化や経済のサービス化(モノから情報・コトの生産・消費へ)、知識集約産業の成長が急速に進行していることを示唆している。起業も活発である。ところで、消費者向け製品はほぼ普及し終わっており、相当の革新性がなければ消費を刺激しない。また、コンテンツは情報である以上、政府が介入し、知財などで徹底保護しなければ金銭的に無価値である。デジタル時代においては、市場取引になじまない「商品」になったようにも思われる。主な付加価値の源泉は、一般市民(消費者=C)の「作品」の投稿・拡散を可能とする、CtoCのプラットフォーム(SNS等)のみともいえる。5Gはそのためのインフラとなる。内需拡大につながる構造改革の中心にあり、余剰資金(貯蓄=投資)の受け皿ともなる5Gに関して、中米交渉において中国が妥協できる余地は限りなくゼロに近い。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.284(2019.01)
〜中米覇権争いの中で進展を目指す3つの課題〜

〔報告のポイント〕
米国が中国に仕掛けた覇権争いには、勝つか負けるかの二者択一しかない。ただ中国は、自ら秩序を構築・維持したい地理的範囲とする「ハワイから西」(「ハワイ以東」は米国)に集中すれば、米国との共存共栄は可能との考えを堅持しているように見える。「ハワイから西」で実行するのは、一帯一路、国内における創造者・表現者が結びつくネットワーク型都市の形成の2つである。後者については、着実に進展しているように見える。他方、一帯一路は数々の問題が指摘されている。 また、「ハワイから西の端(ハワイから東の端)」にあたる英国、ユーラシア大陸西域との関係も中国外交の要の一つである。このような外交が第3の課題ともいえる。第3の課題には一帯一路の「調整」もある。一帯一路は、特にアジア関係国との関係を悪化させている側面があるが、中国の目標達成時期は今世紀半ばである。今後も紆余曲折、試行錯誤が予想されるが、放棄することは決してないと見られる。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.283(2018.12)
〜長期化する対米摩擦を尻目に内需型サービス部門が着実に拡大〜

〔報告のポイント〕
中米対立は1990年代後半頃から進行しているグローバル化の文脈の中で生起している覇権争いといえる。中国はグローバル化について、改革開放をさらに押し進める追い風と捉え、自由化を加速する。他方、米国トランプ政権は、グローバル化について、比較優位を持たない劣後産業の衰退を加速し、移民や難民の流入を加速し、国内所得・地域格差を拡げ、失業者を増やし、社会的分断を推し進めるだけとして保護主義や一国主義に傾く。また、第2次大戦後にアメリカン・デモクラシーを模範として国家を再建したドイツや日本は、「トランプの民主主義」に驚き、ときに不快感を示しながらも、基本的に歩調をあわせる。これに対し、中国はポピュリズムとも、「戦後デモクラシー」とも異なる、「第三の道」を行く。すなわち、グローバリゼーションの中で再浮上し、また、一党支配の中国とも相性がよい、自由放任と呼ぶのがふさわしい古典的な自由の考え方を採用する。自由や民主主義、人権の定義問題で当局と対決しても得られるものは少ない(全くない)と考える人々は、日々の生活改善に 励みつつ、ビジネスや各種ボランティア活動などに力を注ぐ。冷戦時代と異なり、経済的・物質的発展が相対化され、ポピュリズム、デモクラシー、自由放任型自由主義の三者が拮抗する今日の世界で唯一の勝者が生まれる プロセスは、長期的なものになることが予想される。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.282(2018.11)
〜民間企業の成長;米国の制裁アプローチの誤り〜

〔報告のポイント〕
2018年通年の経済成長率は6.5%程度という当初目標が達成されるのは確実である。1〜9月期の産業部門別成長率では、第3次産業主導の経済構造が一段と鮮明化している。中国の経済状況を判断するうえで重要なのは、就労(収入の獲得手段)が極端に悪化せず、実質的な購買力が低下していないかどうかである。社会主義国では、家計部門(=社会)の安定を最優先課題とする。政府、企業部門は―市場経済の基準に照らせば「悪い行い」かもしれないが、政府と国有企業の関係の親密さから、情報の秘匿や企業への財政・金融支援などを通じて―状況の悪化を最小限に抑えることができる。そのようにしながら、零細事業部門の成長を待ち、政府・企業(国有企業)部門を相対的に縮小すればよい。自営や零細事業は、GDPで計量できる経済的な意義以上に就業や「働き甲斐」など社会的安定に大きな役割を果たす。起業は活発であり、零細事業部門の成長は著しい。家計部門や零細事業部門が重要との観点からは、物価動向が重要である。借金を持つ財政、企業(国有企業)にとっては、インフレはおおむねプラスに働くが、無借金か借金が少ない家計、零細事業部門はデフレ気味の方が、生存が容易である。米国からの輸入食糧品の関税率上昇の影響や原油価格の上昇は懸念される。これらも輸入先の多元化や流通企業への行政指導で末端価格は制御可能である。産業構造の変化により、労働力はサービス産業(第3次産業)に吸収され、起業も活発である。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.281(2018.10)
〜中米摩擦を受けて「新経済」の実現を一段と加速へ〜

〔報告のポイント〕
中米通商摩擦は、覇権争いの様相をも帯びて、一段とエスカレートする兆しすら見える。しかし、中国経済は「制裁」を受けてもほとんど影響がないようにも見える。中国経済はきわめて巨大である。巨大ゆえに、個別企業にとっては、中国と米国を結ぶビジネスが巨額に上ったとしても、中国経済そのものは大した影響を受けない。全国貿易総額に占める外資企業の割合は2006年をピークに減少傾向にあるが、外資企業の貿易そのものは「堅調」というのがふさわしい。中米摩擦が長期化する見通しをもつとすれば、現況を中国の内需開拓の好機と捉え、内販にシフトするという選択肢もありうる。中国では供給サイドの改革の進展と相まって、国内消費の高度化、サービス化が加速するという論調も現れている。世界最大級の内需と世界最多の人口を有する国の展望を、外需主導で成長したアジア諸国・地域(日本を含む)の歴史的経験を単純に引き延ばして描くことはできない。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.280(2018.09)
〜ポピュリズムとリベラリズム:中米関係は価値観の争いへ〜

〔報告のポイント〕
中米(米中)間の通商摩擦は沈静化の兆しが見えない。貿易不均衡は存在するが、中国は米国製品に大きな市場を提供している。また、経済面での相互に最大級の二国間関係に加え、人的交流の歴史も深く、その規模は世界最大クラスである。しかし、そうした現実や損得勘定は、現在の中米関係にとって、ほとんど意味を持たないように見える。目下の中米対立は、IMF・世界銀行が主導する戦後の自由貿易体制や、欧米がけん引してきた政治的民主主義が転機を迎えていることの反映のように見えるからである。中米対立の深層は、EUと英国の間、そしてポピュリズムが台頭する他の多くの欧州諸国にみられる現象と恐らく同一のものである。たとえ中米両国が何らかの落としどころを見つけたとしても、それはあくまで暫定的なもので、「ポスト戦後」の世界秩序が固まるまでは繰り返し摩擦、対立は現れるとみられる。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.279(2018.08)
〜“中米通商摩擦”;ポスト冷戦体制構築をめぐる主導権争い〜

〔報告のポイント〕
中米(米中)通商摩擦は覇権争いの様相を鮮明化させている。トランプ米大統領は、自由貿易の拒否、不法移民の強制送還など近隣諸国をほとんど屈服させるか、多国間協定を拒否するという保護主義、一国主義のスタンスを採ってきた。しかし、トランプ政権の今年は、ポスト冷戦体制の構築、換言すれば覇権争いに直結する「中距離関係」に踏み込まざるを得なくなっている。関係国との摩擦は深刻かつ複雑である。中国との関係はその代表例である。その覇権争い的な色彩は、中国が育成を図る新産業全体を排除しようとする意図が鮮明化している。トランプ大統領が有権者に誇示できる成果を引き出せる可能性はゼロではないが、中国が米国に提案できる具体的条件は皆無に等しい。また、中国経済の米国市場への依存は21世紀に入って弱まっており、米国の制裁に対し一方的に譲歩する理由も見当たらない。ほとんど唯一の光明は、「中距離関係」の最重要課題の一つである北朝鮮の非核化が一定の進捗を見せ、その進捗に果たした中国の努力を米中関係改善の口実としうることである。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.278(2018.07)
〜対外開放政策の一段の推進〜外商投資参入ネガティブリストとFTA〜

〔報告のポイント〕
産業・経済構造転換の要請、中長期的な成長戦略、米国との通商摩擦の激化などを背景に、中国は対内直接投資 規制の緩和やFTAを通じて市場開放を加速している。海外からの製造業投資が直接投資全体に占めるシェアは 2010年に50%を下回り、2017年は25.6%まで低下したが、今年1〜5月期は29%余りまで上昇している。また、 輸出総額に占める外資企業のシェアは2012年に50%を下回り、今年1〜5月期は41.7%まで低下した。輸入も 2017年に46.8%まで低下し、今年1〜5月期は43.6%まで下落した。製造業投資が純粋にモノづくりに関連した 投資かどうかは不明だが、外資企業の活動が、国内調達→国内生産→国内販売型に変化していると考えられる。 消費市場も米国に次ぐ世界第2位の規模を持ち、中国市場は魅力を増している。中国の通商政策で興味深いのは、 産業の国際競争力強化策や市場開放を推し進めても、単なるナショナリズムに基づく自国企業・産業の保護、 経済安全保障の観点からの産業保護ではなく、生活環境問題としての第一次産業や地域ごとの多様性の保持を目的 とする「保護主義」の志向を手放さないことである。米トランプ政権が繰り出す対中制裁措置は、中国のアジア 接近を加速し、アジア経済の一体化をさらに進める契機となる可能性がある。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.277(2018.06)
〜経済大国の自画像の把握と対外摩擦〜

〔報告のポイント〕
今日の時点で第13次5カ年計画(2016〜20年)の目標は、ほぼすべてが達成される見込みである。江沢民氏が1997年に提示した「小康社会を全面的に築き上げる奮闘目標」も優に達成される見通しである。このような消化試合の様相から、習近平氏は「二つの百年」(党創立100年の2021年と、建国100年の2049年)を見すえ、長期にわたり「新時代」の建設にまい進する算段ともみられている。順調に見える習体制の視界を曇らせるのは唯一、 トランプ政権といえる。世界第2位の経済規模を持ちながら、一人平均GDPでは世界中位にとどまる中国の行方を占うのは、国際社会での立ち位置の確立である。国民一人平均所得を増やすという政策行為自体が、米国との摩擦を惹起してしまう。地球環境にのしかかる負荷を考えれば、中国の物質的発展は地球規模の問題でもある。仮に今日の中国の一人平均GDPが米国と等しいとすれば、中国のGDPは2017年値の7倍、米国の同4.4倍となる(84兆ドル)。中国一国だけで今日の世界合計GDP(80兆ドル)を上回る。このような観点から見れば、むしろ異次元の国家として中国を捉え、物質的発展に代わる新しい価値観と、地球上にふさわしい位置を与える斬新な知恵が求められているのではないだろうか。中国が人口、人々の物質的欲望・将来への希求、他国の出方、地球への負荷などを天秤にかけつつ政策を考えているのも、また間違いない。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.276(2018.05)
〜「自由化」の推進を通じた「より高度な開放」の模索〜

〔報告のポイント〕
第13次5カ年計画(2016〜20年)の最大の政策課題の一つは、「新時代」における「より高度な開放型経済」の追求である。20世紀末まで、社会主義市場経済の枠組みのなかで「外国のものを謙虚かつ選択的に受け入れる」という慎重な受け身姿勢を保持してきた。それは輸出加工区の設置に典型的に現われた。しかし21世紀に入り、「自ら外に出て、外部状況それ自体の変化を働きかける」姿勢が現われ始めた。江沢民→胡錦濤→習近平と政権が移るなかで「国家主義的姿勢」が鮮明化した。現時点でこの趨勢の先端にあるのが、米国との「新型大国関係」の構築と一帯一路戦略である。他方、「国家主義的姿勢」が国内的に抑圧的かは別問題である。「経済に完全には拘束されない社会」の出現を新たな国づくりの好機と捉え、中国当局は既得権益層の打破を目標に掲げ、起業促進や供給サイド改革という名の自由化政策を習氏の「独裁権力」の下で進めている。自由化を手段に、対外的には「国」を前面に押し出す形で国際秩序の再編を目論み、対内的には「社会」の自律を容認・促進し、持続的な経済発展とともに社会・国家の安定を図ろうとしているのが「新時代」の中国の姿といえる。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.275(2018.04)
〜全人代:「共産党/改革開放の中国」から「習近平の国家」へ〜

〔報告のポイント〕
今年3月に全国人民代表者大会(全人代)が開催された。今年の全人代は、昨年の党大会が共産党権力を相対化し、国家権力の増強を打ち出したため、政府や党の地位は後退し、国家主席である習近平氏の存在感が際立った。全人代では「新時代の中国の特色ある社会主義思想」を遂行すべく、憲法改正と国務院(政府)機構改革が行われた。政策の重点を経済発展から社会・文化の充実へと変え、経済発展の目標も「国・企業の富の増大」から「個人生活の質」の向上へと変更し、そうした価値観に基づいて米国との新型大国関係の樹立を軸に国際秩序の再編につなげる法的枠組みと機構を整えた。習氏の思想の特徴は「中華民族が支える国家としての中国」を強調し、その国家をけん引役として国際秩序再編を成し遂げようとするところにある。しかし、全人代の開催期間中に、米トランプ政権が中国等への貿易赤字、知財侵害等に絡む制裁措置を打ち出したことで、政権にとっては出鼻をくじかれた形となった。李首相の施政方針演説では、今年の経済成長率目標が昨年と同じ6.5%前後と発表された。2020年までは同目標が保持されるとみられる。「新常態」の経済拡大ペースを基に、さらなる自由化を進める。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)

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