通商・投資Gエマージング市場関連情報TOP > 月例 中国経済現地報告(過去分)

※記事をご覧いただくにはメンバーズ会員への登録(IDとパスワード)が必要です。
・メンバーズサイトについてはこちら


月例 中国経済現地報告(過去分)
平成30年度
No.276(2018.05)
〜「自由化」の推進を通じた「より高度な開放」の模索〜

〔報告のポイント〕
第13次5カ年計画(2016〜20年)の最大の政策課題の一つは、「新時代」における「より高度な開放型経済」の追求である。20世紀末まで、社会主義市場経済の枠組みのなかで「外国のものを謙虚かつ選択的に受け入れる」という慎重な受け身姿勢を保持してきた。それは輸出加工区の設置に典型的に現われた。しかし21世紀に入り、「自ら外に出て、外部状況それ自体の変化を働きかける」姿勢が現われ始めた。江沢民→胡錦濤→習近平と政権が移るなかで「国家主義的姿勢」が鮮明化した。現時点でこの趨勢の先端にあるのが、米国との「新型大国関係」の構築と一帯一路戦略である。他方、「国家主義的姿勢」が国内的に抑圧的かは別問題である。「経済に完全には拘束されない社会」の出現を新たな国づくりの好機と捉え、中国当局は既得権益層の打破を目標に掲げ、起業促進や供給サイド改革という名の自由化政策を習氏の「独裁権力」の下で進めている。自由化を手段に、対外的には「国」を前面に押し出す形で国際秩序の再編を目論み、対内的には「社会」の自律を容認・促進し、持続的な経済発展とともに社会・国家の安定を図ろうとしているのが「新時代」の中国の姿といえる。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.275(2018.04)
〜全人代:「共産党/改革開放の中国」から「習近平の国家」へ〜

〔報告のポイント〕
今年3月に全国人民代表者大会(全人代)が開催された。今年の全人代は、昨年の党大会が共産党権力を相対化し、国家権力の増強を打ち出したため、政府や党の地位は後退し、国家主席である習近平氏の存在感が際立った。全人代では「新時代の中国の特色ある社会主義思想」を遂行すべく、憲法改正と国務院(政府)機構改革が行われた。政策の重点を経済発展から社会・文化の充実へと変え、経済発展の目標も「国・企業の富の増大」から「個人生活の質」の向上へと変更し、そうした価値観に基づいて米国との新型大国関係の樹立を軸に国際秩序の再編につなげる法的枠組みと機構を整えた。習氏の思想の特徴は「中華民族が支える国家としての中国」を強調し、その国家をけん引役として国際秩序再編を成し遂げようとするところにある。しかし、全人代の開催期間中に、米トランプ政権が中国等への貿易赤字、知財侵害等に絡む制裁措置を打ち出したことで、政権にとっては出鼻をくじかれた形となった。李首相の施政方針演説では、今年の経済成長率目標が昨年と同じ6.5%前後と発表された。2020年までは同目標が保持されるとみられる。「新常態」の経済拡大ペースを基に、さらなる自由化を進める。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)

平成29年度
No.274(2018.03)
〜包括的な産業政策としての“ネット強国化”と外資政策〜

〔報告のポイント〕
ICTの発展・普及によりCtoC型の取引が急速に普及している(「消費者の生産者化」)。従前の製造業・サービス 業は、「プラットフォーム産業」「インフラ産業」という「第4次産業」に収れんしつつある。すなわち、取引の 場を形成するハード・ソフトを提供することが製造業・サービス業の主な事業内容となり(「BtoB」「BtoG」へ特化)、 家計(個人)が「最終製品」を生産・供給していく(「CtoC」の拡大)。中国はそのダイナミズムが鮮明である。 「中国製造2025」や「インターネット+」などを通じて、政策的にもこの方向性を目指している。一帯一路も巨大 なプラットフォーム(情報インフラ)構想といえる。その政策や構想は徐々に具体化され、成果を上げつつある。 サービス産業は成長を続けており、海外からの直接投資に占めるサービスのシェアは7割を超えている。個人の 起業も活発である(「C」の成長)。新型城鎮化政策は農民に都市戸籍を与え、創造・創作する「C」に変え、同時に 農村を「第4次産業」の場へと変えることが狙いである。「BtoC」に代表される消費財産業は、長らく輸出型の労働 集約製品が主だったが、近年ではバイオ医薬品などが成長している。中国の富豪トップの業種内訳トップ3は、 バイオ医薬、不動産、電子/半導体・製造だった。今後のサービス業(「製造サービス業」と呼ぶべきか)を主と する外資規制緩和に関しては、アクセルとブレーキを交互に踏む姿勢を鮮明化しつつ、慎重かつ着実に進めていく ことが予想される。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.273(2018.02)
〜中米通商摩擦の行方;今年は日中、日米関係をも占う1年に〜

〔報告のポイント〕
中国は今年も堅調な成長を予想する向きは多い。大方の予想では、3月の全人代で李克強総理は「6.5%前後」を提示するとみられている。2011〜20年の経済目標は、改革開放後の毎10年間と同じく所得倍増なので、毎年7.2 %成長が必要な計算になる。2011〜17年はそれを上回る実績を残しているため、2018〜20年の3年間は毎年6.4 %で十分な計算になる。IMFは世界経済、なかでもアジアと欧州が好調を維持することもあり、2018年の中国の経済成長率予想を6.5%から6.6%に引き上げた。世界経済の安定推移が予想されるため、中国政府には政策遂行上の余裕が生まれている。習近平政権は、課題として掲げる環境政策や債務処理を含む経済・産業構造調整、一帯一路、対米関係に一段と注力できるようになる。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.272(2018.01)
〜本格化する環境政策と連動する経済・産業構造改革〜

〔報告のポイント〕
今日のグローバル化が進む新たな時代状況においては、「建国」(毛沢東氏)や「経済建設」(ケ小平氏)とは異なる、新たな国家目標が追求される。それは、「民主的・文明的・調和的・美しい、社会主義現代化強国」の建設を指す。その中核を占める政策が環境である。地球環境を含む環境は一国では解決困難な問題であり、指導力を発揮し、国際的に大きな役割を果たし、世界秩序の再編を進めたい中国にとっては絶好のテーマでもある。共産党第19回大会の前後から環境関連の新たな政策や実施済みの政策の成果が相次いで発表されているが、各種政策との連動性が強く、強靭な指導力が不可欠な政策分野でもあり、共産党大会により「習一強体制」が確立された現在、さらに政策立案、遂行のスピードは上がることが予想される。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.271(2017.12)
〜第二期目の習近平政権の今後4年間の課題;債務問題への対応に動き出す〜

〔報告のポイント〕
習体制の今後5年間の目標は、共産党大会の「政治報告」の通り、「小康社会の全面的完成の決戦に勝利し、新時代の中国の特色ある社会主義の偉大な勝利を勝ち取ろう」である。このうち前半部分は、江沢民氏が1997年に定めた目標であり、2020年までを期限とするが、習氏はその目標は「すでに達成されている」と認識している。その具体策は2011〜20年の10年間における所得倍増計画だが、2017年通年の経済成長率を6.8%とみれば、2018〜20年は6.4%で足りる。後半部分は、「新時代の中国の特色ある社会主義の実現」であり、2021〜35年と2036〜50年の2段階で追求されるが、その始まりは4年先である。今後4年間は、習政権にとって大きな目標は存在しない。あえて挙げれば、次の5つが課題になると考えられる。@債務問題の解決を軸とする金融改革、国有企業改革、A一帯一路、B2050年までの課題遂行に見合った中長期的な中米関係の基礎づくり、C2021年以降の最大の課題である環境や文化など生活の質の改善と世界に通用する「中華民族」の理念の創造の前倒しでの追求、D既定の改革開放政策の継続、である。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.270(2017.11)
中国共産党の第19回大会と「社会主義現代化強国」の建設

〔報告のポイント〕
中国共産党大会が開催された。提示された政策目標や人事はおおむね想定内であり、習近平政権の安定性、継続性重視の姿勢が改めて示された。そうした安定性や継続性は、第2期目に入る習氏がケ小平氏を凌ぎ、毛沢東氏と並ぶ絶大な権威を獲得したがゆえともいえる。習氏が示した構想は、ケ氏が提示した今世紀半ばまでの目標を忠実に踏まえたものだが、「習近平らしさ」は、今世紀半ばの最終段階までに新世界秩序を形成する意欲を改めて強く押し出した点にある。ケ氏を上回る「権威」も、経済発展や軍事力増強を越え、文化や環境など「生活の質」を含む人間生活の全体的要素により、「世界を秩序付ける中国」の現状と未来像が党内で一定の評価を獲得した点に由来すると考えられる。中国は「発展途上国のリーダー」という立ち位置を基本として、今世紀半ば頃までに 米国と並び立つ、もしくは米国を凌駕する諸パワーを得て覇権を握る可能性は大きいように見える。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.269(2017.10)
「政治・経済は社会のために」への政策転換をさらに強固なものとする

〔報告のポイント〕
中国共産党第19回党大会の最大の見どころの一つは、7人の政治局常務委員の人事である。第6世代と呼ばれる今後の政権を担う指導者の顔ぶれが明らかになる。習近平氏の権力確立のアプローチは、派閥という既得権益集団の解体にあると考えられる。既得権益層の解体が改革開放のさらなる推進において必要と判断し、そのために独裁的手法を採ることは、最高指導者のみが可能な一つの選択である。今回、習氏の独裁体制が固まれば、より実務重視の政権運営が行われると考えられる。習政権の政策目標は、@中米を二極とする世界新秩序の形成、A国内における貧困の撲滅、B共産党一党支配の永続性の確保をも目指す、腐敗対策や一定の経済成長の継続、新型城鎮化政策等を通じた社会秩序の維持、の3つと考えられる。一言でまとめれば、「政治・経済は社会のために」という前政権の頃から鮮明化した方針を決定的に確かなものとすることといえる。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.268(2017.09)
〜懸案のバランスシート調整:着実に進めるも急がず〜

〔報告のポイント〕
海外ウォッチャーの中国経済に対する最大の懸念は債務問題である。IMFが公表した年次審査報告では、短期的な成長見通しを上方修正した一方、成長率目標の設定や債務拡大リスクに注意を促した。2020年のGDPを2010年比で倍増させる目標は達成可能との見解を示したが、債務削減の取り組みはそれほど進展していないとの見方を示した。非金融部門の債務の対GDP比は、2022年までに290%を超えると予想。「持続可能な成長モデル」に移行するため、消費促進、国有企業改革の加速、債務圧縮を進めるための財政政策の見直しなどを提言した。一党支配の中国では、成長率目標達成の縛りが強い。ある数値を10年で2倍にするには、毎年約7.2%の伸び率が必要になるが、この政治目標は40年近く厳格に守られてきた。この目標は習近平体制途中の2020年に期限を迎える。2022年又は23年以降は数値目標が設定されない可能性があり、その場合は政策の大きな転換となる。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.267(2017.08)
順調に進展する経済・産業構造調整:金融・サービスの一段の開放には慎重か

〔報告のポイント〕
中国国家統計局が発表した第2四半期のGDP成長率は、前年同期比実質6.9%増となり、第1四半期から横ばい、上半期の成長率も同6.9%だった。年初からの金融引締めもあり、不動産投資は鈍化が続いており、成長率は下半期に向け減速すると予想する向きが多いが、今年通年の目標である「6.5%前後」を達成するのは確実。M&Aを中心に対外直接投資の増加ぶりも著しい。全体としてサービス業と消費を主とする内需の拡大、製造業の国際化が進行し、中国経済が着実に構造的進化を遂げ、持続的な成長軌道に乗りつつあることを、第2四半期のデータは示したというのがふさわしい。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.266(2017.07)
金融・サービスを通じた国際戦略の推進

〔報告のポイント〕
中国政府は経済サービス化を促進することで、体制改革を推し進めようとしている。しかし他方で、共産党支配の下、経済・社会サービス化への警戒心が強まってもいる。その典型がインターネットの管理や社会組織の取り締まり強化である。今日の中国を含む途上国における異議申し立ては、脱工業化時代における生活の質の確保、具体的には自然破壊、労働環境、交通渋滞、社会保障など様々な個別状況の改善をめざす「住民運動」である。その意味で、民主化運動の有効性は薄れ、政府の思想・言論統制の効力も限定的なものにとどまる、との評価が可能である。人々の要求がそのように変化しているからこそ、社会安定のため「経済サービス化」に注力しているともいえる。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.265(2017.06)
雇用・企業と債務問題;一帯一路もにらみつつ金融改革に本腰

〔報告のポイント〕
中国内政の最大問題は雇用と債務である。債務は企業に関わる問題であり、対外債務が限定的であることや中央政府財政の健全性、情報統制の強い国柄などを勘案すれば大きな問題とはならない。中国政府は一段の改革には徹底的な自由化しかないと認識し、その自由化こそ世界戦略である一帯一路の成否の鍵を握ることを理解する。自由化推進のリスクは雇用と債務問題であり、中国政府はそのリスクが表面化するきっかけが金融にあることを理解する。金融改革の鍵を握るのは健全な企業の成長、つまり供給サイドの改革である。企業育成→雇用確保/債務削減→金融健全化→さらなる企業育成というサイクルを軌道に乗せるべく注力することを、中国政府関係者は繰り返し強調している。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.264(2017.05)
サービス強国をめざす中国;諸外国との関連は“ソフトな摩擦”にとどまるか

〔報告のポイント〕
習近平体制の政策目標は「サービス経済」の育成である。サービスはその地域・国の文化や慣習等を反映するため、主にモノを生産・販売する時代と比べ、その国の在り様それ自体、そして特に対外政策を全体としてナショナリスティックなものへと変える。内政はサービス化を進めるべく規制緩和が基本方針となる故に、経済外交を含む外交が政府の主要な仕事となる。世界情勢はしばしばソフトパワー(文化や慣習など当該国の伝統に基づく価値観)がぶつかり合う場のような様相を呈する。「モノの経済大国」となった中国が「サービス強国」の建設へと舵を切り始めている現在、世界に「ソフトな摩擦」は生起しているが、モノの時代のような深刻な貿易摩擦や全面的な熱戦には至らないと考えられる根拠がこの辺りにある。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)
No.263(2017.04)
第12期全人代第5回会議;自由化政策の「様子見段階」を迎えたか‥‥

〔報告のポイント〕
習近平氏が「核心」と強調されるのは、中国が難題に直面しているからである。それは既得権益の打破であり、習氏が「独裁者」となって自由主義政策を果敢に実践することで実現されることにほかならない。国内では多元性を発露すべく自由主義的政策を推し進める一方、国富増大の有力手段として経済外交が展開されるようになる。対外的には「独裁者」のように映るようになり、国の政策は国家主義的色彩を帯びる。経済外交の受益者が新たな既得権益層として生成する、という矛盾した現象も生じる。習氏を、独裁的権力を持つ「皇帝」のように形容する論調が資本主義・民主主義国家で散見されるが、同氏がグローバル化時代に活動する政治指導者であることを思えば、その姿は今日の資本主義・民主主義国家の指導者と変わるところはない。2012年から本格化した自由主義的政策は「安定重視」の段階を迎えたようにも見える。習政権がめざすのは「GDP増大から生活の質の充実へ」を通じた国家の安定化だが、急激な変化は不安定化を招く。今年は公共事業重視の伝統的な政策が重視される可能性もある。

中国統計(主要経済指標、工業生産、投資額、貿易統計、海外からの直接投資、香港の主要経済指標等)

(↓年度をクリックするとリストが表示されます。再びクリックすると非表示になります。)
平成28年度
平成27年度
平成26年度
平成25年度
平成24年度
平成23年度
平成22年度
平成21年度
戻る



Acrobat Reader のダウンロードこのページの情報の一部はPDFで配信します。
なるべく最新のリーダーをご利用下さい。


Copyright(C) Japan Machinery Center. All rights reserved.