◆サプライチェーン・セキュリティ対策
  米国関税局の新たなセキュリティスキーム(C-TPATとCSIについて)
トップページサプライチェーン・セキュリティ対策ニュース関連>米国100%スキャン法(海上コンテナ)の実施延期にかかる米国産業界の動きについて

米国100%スキャン法(海上コンテナ)の実施延期にかかる米国産業界の動きについて
2014/06/06

 当組合が今年5月20日に開催した「2014米国のサプライチェーンセキュリティセミナー」で、講師の米国大使館 税関・国境取締局 駐日代表 ブレンダン オハーン氏からも説明がありましたが、米国国土安全保障省(DHS)のジェー・ジョンソン長官は、2014年7月まで2年間の実施延期とされていた100%スキャン法を、さらに2年間実施を先延ばしする旨、5月5日付の書簡で米国議会に通知しました。

 米国100%スキャン法は、米国貨物セキュリティ施策の一環で、米国向け海上コンテナ貨物は、海外での船積み時に全て(100%)、核物質検知装置とエックス線検査装置(NII: 被破壊型検査装置)による検査を受けなければならないと規定しており、2007年に大統領が署名し法律として成立しています。(正式名称: Implementing Recommendation of 9.11 commission Act of 2007)

 実施時期は2012年7月を予定していましたが、同法では6つの実施延期条件のうち、最低2条件の未整備についてDHS長官が議会に証明できれば、実施期日を2年間延期できるとも定められており、WCO (世界税関機構)を始めとする多くの関係者から実施反対の声が上がっていました。
 当時のジャネット・ナポリターノDHS長官は、同法の実施が貨物量、貨物の流れに重大な影響を及ぼすこと、海外の港湾では、非破壊型検査装置を置くための物理的スペースがなく、貨物を効率よく移動できるよう準備できないとして、2014年7月までの2年間の実施延期を通知し、議会はこれを受け入れたものですが、その後の状況に変わりがないことから、ジョンソン長官がさらに2年間の延期を通知したものです。

 こうした動きを踏まえ、米国では70もの団体が連名で、ジョンソン長官の決定を歓迎するとともに、100%スキャン法の実施はグローバル取引に対するネガティブな影響が あまりにも大きく、海外政府との重大な摩擦を引き起こしかねないとして、そもそも本法の廃止を議会に訴えるべきだとの内容の書簡(添付)を6月2日にジョンソン長官あてに提出しています。
 本書簡には、農業、小売り、製造、輸送、通関等、多くの産業界が連名で発出しており、当組合と関係の深い米国輸出入者協会 (AAEI: American Association of Exporters and Importers)も連名しています。
 今年7月の実施は避けられる見通しですが、産業界の要望する廃止については、今後新たな動きが出てくるようであればお知らせいたします。

(参考)
100%スキャン法 実施延期条件

1.スキャンシステムが購入、入手できない。

2.スキャンシステムの誤作動率が高い。

3.海外の港湾がスキャンシステムの購入、手配ができない。

4.スキャンシステムが現行システムと統合できない。

5.貿易量、貨物の流れに重大な影響を及ぼす。

6.スキャンシステムがリスク貨物であることを自動通知できない。


添付ファイル100percent_scan_putoff.pdf

以上


本件の問合せ先
**********************************************
日本機械輸出組合 
部会・貿易業務グループ (橋本、多田)
TEL: 03-3431-9800
Email: bukai@jmcti.or.jp
URL: http://www.jmcti.org
**********************************************


戻る