◆サプライチェーン・セキュリティ対策
  米国関税局の新たなセキュリティスキーム(C-TPATとCSIについて)
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米国関税庁のファイナル・ルール、コメント編
2002/11/15

10月31日付け米国官報Federal Registerで「積込み24時間前までの海上コンテナ貨物のマニフェスト情報事前申告に関するファイナルルール(以下24時間ルールと言う)が発表されましたが、併せて、プロポーズド・ルールに対するパブリックコメントで提起された問題点と米国関税庁の見解を詳細に紹介しております。これら米国関税庁の見解は、24時間ルールの今後の運用等について多くを示唆しておりますので以下のとおり要旨をご報告いたします。
(以下は当事務局による要約ですので、正しくはFederal Register の原文をご参照下さい。また一部要約をし残しておりますが、10月31日の発表以来時間が経過しておりますのでご報告することにいたしました。残りにつきましては順次ご報告いたします。誤訳・表現の不適切なものがありましたら、お聞かせいただければ幸いです。)

*括弧内の数字は同趣旨のコメント数

1.19 U.S.C. 1431 as Authority for Regulation Notwithstanding Trade Act of 2002
コメント(21)
米国議会では8月6日に2002年通商法(Trade Act of 2002, Public Law 107-210)を可決させた。同法のセクション343(a)では、船舶、陸送、航空貨物について事前電子申告を義務つけている。関税庁の24時間ルールは同法と矛盾するのではないか。
関税庁の見解
2002年通商法と24時間ルールはいずれも関税法の範疇の中で共存できる。米国関税庁は、今後2002年通商法セクション343(a)項にしたがった新規則を発表することになる。新規則は、船舶、陸送、空輸貨物の情報を事前に電子申告することを義務付けるものである。

2.Bulk and Break Bulk Cargo(バラ積み貨物)
コメント(7~8)
バルク貨物及びブレークバルク貨物に対しても24時間ルールが適用されるのか?
関税庁の見解
プロポーズドルールを修正し、
バルク貨物は24時間ルールの適用を免除する。
ブレークバルク貨物はケースバイケースで、24時間ルールの適用を免除する。免除を受けるためには、文書でワシントンへ申請する。
24時間ルールの適用免除を受けたバルク貨物及びブレークバルク貨物のキャリアは、AMSプログラム参加者は貨物申告情報を米国到着の24時間前までに、非参加者は米国到着後直ちに、税関に提出しなければならない。

3.Non Vessel Operating Common Carriers Eligible to Participate
コメント
FMC(Federal Maritime Commission)に許可されたNVOCCと登録NVOCCの2種類がある。プロポーズドルールで前者は直接的に米国税関へ電子申告できるようになったが、後者も直接電子申告できるようにするべきである。荷主団体(Sippers’ Associations)も同様に取り扱われるべきである。
関税庁の見解
登録NVOCCも電子申告プログラムに含まれるようにする。しかし、荷主団体は、米国法の下で規定されておらず、FMCの許可も登録も受けていないので認められない。

4.Confidentiality of Manifest Information
 (準備中)

5.Bonds for Non Vessel Operating Common Carriers (NVOCCs)
 (準備中)

6.Permits To Unlade in United States Ports
コメント(2~3)
米国港での荷下ろし許可に関して、積載貨物の一部が24時間ルールに従っていない場合、積載貨物すべてについて荷下ろし許可が拒否される可能性がある。
関税庁の見解
貨物の荷下ろし許可に係わる米国法令(19 U.S.C.1448)では、申告され且つ荷下ろし許可が発給されるまで、いかなる貨物も荷下ろしされてはならないと明示している。米国税関が、規則に反して積込まれた一部貨物を特定できる限りにおいて、税関は当該一部貨物を他の貨物から分離して処理する権限を持つ。税関は、24時間ルールに従って積込まれた貨物の荷下ろしを許可することになろう。

7.Liability Concerns and Legal Responsibilities
(1)コメント(7~8)
様々な責任問題に関する質問が寄せられている。
特に、正確なマニフェスト情報申告に際して以下のような場合、ペナルティについて誰が法的責任を負うことになるのか?すなわち、申告されたマニフェスト情報に誤記あるいは記入漏れがあった場合、また、規定された時間内に申告できなかった場合。
マニフェスト申告された貨物が積み残され、申告された米国港に輸送されなかった場合、あるいは、寄港地の変更によって貨物が申告された港とは別の港へ輸送された場合、誰が法的責任を負うことになるのか?
関税庁の見解
米国税関は、規則で定められた情報の提出に責任を有するいかなる貿易関係者に対してもペナルティを科すことができる。たとえば、
NVOCCが船舶AMS(vessel AMS)に参加しており、米国税関へ直接的に情報を申告している場合はNVOCCに責任があり、規定された時間内に申告されていない、あるいは申告情報にエラー/漏れが含まれているマニフェスト情報に対してNVOCCが責任を負うことになろう。これは、NVOCCがマニフェストを申告した貨物が積み残された場合にも同様である。NVOCCがマニフェスト情報を訂正できるよう船舶・キャリアとNVOCC間での迅速なコミュニケーションが求められる。同様に、船舶・キャリアとNVOCC間の効果的なコミュニケーションが、寄港地の変更に際しても最も重要である。
NVOCCが船舶AMSの参加者であるならば、税関目的から、NVOCCはキャリアと見なされることになる。他の船舶AMSキャリアに対して現在スペース・チャーターとなっている船舶オペレーターは、これまでスペース・チャーターが税関にマニフェスト情報を提出する際に執ってきたのと同じ通知手続きをとることになる。船舶オペレーターは、NVOCCの標準キャリア・アルファ・コード(SCAC: Standard Carrier Alpha Code、19 CFR 4.7a(c)(2)(?B)で記述 )が税関提出用フォーム(CF)3171に記入されているか否かについてのみ責任を負う。NVOCCとスペース・チャーターのSCACを申告しなかった場合、船舶・キャリアが19 U.S.C.1436に基づいて罰せられる。
(2)コメント(多数)
いったん積込み許可が出た貨物に対しては、検査目的の積み下ろし命令を米国税関は出さないか否か確認したい。
もし、途中の外国中継港で米国税関が積み下ろし命令を出した場合、それによって生じるコストは誰が負うべきか?
関税庁の見解
現状のコンテナ検査手続きを続ける。米国関税庁は、緊急事態を除いて、24時間ルールに正しくしたがって既に船積みされたコンテナに対して検査のための荷下ろし命令が出されることを想定していない。(検査のための荷下ろし命令が出されるような)稀なケースには、キャリアにコストが割り当てられることになろう(Carrier will be assessed the costs)。

8.Automated Commercial Environment (ACE)
コメント(7~8)
ACE(Automated commercial Environment)システムがどのように24時間ルールとリンクされるのか? また、パーシャルB/L情報を税関に報告できるのか?
マニフェスト情報を申告できる資格者の範囲を、ブローカー、荷主、輸入者にも拡大してもらいたい
関税庁の見解
現在米国税関が利用しているマニフェスト情報電子申告システムはAMS(Automated Manifest System)である。このAMSはACS(Automated Commercial System)のコンポーネントである。ACSでは、ブローカー、荷主、輸入者がマニフェスト情報を入力することを認めない。また、ACSではパーシャルB/L情報を受け付けない。
ACEとは新システムであり現在開発段階にあるので、上の質問に対する正確な回答を示すことはできない。TSN(Trade Support Network:ACE開発に関して官民で構成される種々のワーキンググループのひとつ)では、ACEがどのように24時間ルールの目的に適合するか検証することになろう。(関心のある人は、www.customs.gov、Customs Modernizationアイコンをクリックし、検索ボックスにTSNと入力する。

9.Maintaining a Paper Manifest on Board the Vessel
(1)コメント(7~8)
船舶はマニフェストのオリジナルを船内に保持しておく必要がある。
関税庁の見解
マニフェスト文書を船内に保持するという要件は、「船舶ペーパーレス・マニフェスト試験(Vessel Paperless Manifest Test)」の間は停止されていたが、この試験手続は、本24時間ルール施行日までに修正されるだろう。
船舶ペーパーレス・マニフェスト試験(Vessel Paperless Manifest Test)参加者に対しては、船内マニフェスト文書保持を求められなくなるだろう。しかしながら、提出を求められた場合には直ちに提出しなければならない。また、船舶ペーパーレス・マニフェスト試験に参加していない全てのキャリアは、完全なマニフェスト文書を保持しておかなければならない。
(2)コメント(7~8)
キャリアは、米国での荷下ろし許可を得るために米国到着前に最終的なマニフェストを提出するよう求められるのか、あるいは事前に申告された個々のマニフェストで十分なのか?
関税庁の見解
マニフェストとデクラレーションの区別は理解されなければならない。貨物デクラレーションはマニフェスト(Vessel Manifest)を構成する数種類の書類の一部である。24時間ルールでは、積込み24時間前の貨物デクラレーション提出によって、米国税関は、米国到着時に追加的にデクラレーション情報を提出するよう求めないことになる。しかし、マニフェストを構成する他のドキュメントは米国に入ると直ちに提出されなければならない。

10.Requirements for U.S. Virgin Islands
コメント(複数)
米国本土と米領バージン諸島との間を運行する船舶は24時間ルールの対象となるのか?プエルトリコ、ハワイ、アラスカと米国本土間は24時間ルールの対象となっていない。
関税庁の見解
プエルトリコ、ハワイ、アラスカと米国本土間は米国税関領域内での運航であるが、米領バージン諸島は米国税関領域の外側に位置する。したがって、米国本土と米領バージン諸島との間を運行する船舶は24時間ルールの対象となる。

11.Military Cargo
コメント(多数)
24時間ルールは、軍用貨物あるいは他の政府関係輸送にも適用されるのか?
関税庁の見解
軍用貨物輸送および他の政府関係輸送を行うキャリアも、24時間ルールを遵守することが求められる。

12.Clarification of Data Elements
(1)コメント(7~8)
(貨物の詳細な説明について)申告すべき情報の定義を明確化するべき。
関税庁の見解
プロポーズド・ルールを見直し、貨物マニフェストに盛り込まれるべきデータエレメントについて追加的な説明を加えた。
(2)コメント(7~8)
詳細な貨物の説明が求められることによって、ダミー情報が提出されるという結果になる。
ある種のデータエレメントはコンテナが積込まれるまで知りえない。
荷主が詳細な貨物の説明をしようとすれば、その結果、船舶が米国に近づくにつれてマニフェストに多くの修正を施すことになろう。
関税庁の見解
いわゆるダミー貨物情報こそまさに米国税関が受け付けられないものである。したがって米国税関は正確な貨物の説明を求めているのである。FAK(Freight of all kind)、general Cargo、STC(said to Contain)などの総称的な表現は受け付けられない。また、化学品(Chemicals)、食料(foodstuffs)などの総称的説明も説明範囲が広すぎるとみなされる。
(3)コメント(7~8)
荷受人名も列記しなければならないのか?あるいは、貨物を受取ったときに(荷受人名を)知らされている場合にだけ記述(list)するだけでよいのか?特に以下について明確化されたい。すなわち、
「所有者(Owner)あるいは所有者の代表(Representative of Owner)」とは、「貨物の所有者」意味するのか?
荷主は、貨物所有者の述べることによって、荷受人の名前の開示をしなくともよいか?
荷受人が記述されていないときにのみ所有者を記述(list)することになるのか?
関税庁の見解
商品がトランジットで販売される「to Order」出荷のケースの時にのみ、荷受人の名前が記録されない。多くの「to Order」企業が荷受人として記述される。「to Order」荷受人とは真の荷受人でなく、支払いを保証する銀行など利害関係者(Interested party)にすぎない。貨物の所有権の保持者(所有者)あるいは保持者の代表のいずれかが当該出荷に関して真の利益(Interest)を有している。したがって、所有者あるいは所有者の代表が、「to Order」出荷の場合に荷受人として記述されなければならない対象(Party)である。しかし、荷受人名が入手できる場合には、荷主は当該情報を開示しなければならない。
(4)コメント(多数)
シール番号(Seal Number)をどのシール番号なのかを明確化するべき。すなわち、荷主のシール番号なのか、シッピング・ラインのシールなのか、あるいは税関シールなのか。
全ての積載コンテナがシールを貼付される必要があるのか明確化するべき。
関税庁の見解
確認されるべき番号とは、コンテナを積込んだ最後の人/会社のシール番号である。C-TPAT参加者は、全てのコンテナにシールを貼付しなければならない。
(5)コメント(複数)
貨物が積込まれる前に、実際の積込み数量を報告するのは不可能であるという主張がある。
関税庁の見解
ファイナルルールではこの要件を削除した。この問題は、Federal Registerで別に発表される予定のManifest Discrepancy Reportに関連するプロポーズド・ルールで対応することになっている。

13.Co-Loading
 (準備中)共同積荷についての議論

14.Vessel AMS Procedures
(1)コメント(7~8)
船舶AMSは、入力後送信前の申告情報のいくつかの申告内容をキャリア側で修正できるようプログラムされる必要がある。
米国税関に個別にB/L(Single Bill of Lading)を申告できるようにしてもらいたい。
関税庁の見解
現在のAMSプログラムでは、送信前のマニフェスト・データの変更・追加・消去できない。キャリア、NVOCC、スペース・チャーターは、いずれかの貨物が適切にマニフェストされず、または適切にB/L修正されずに積込まれるという可能性を排除するために、相互に連絡を取り積込み情報を提供する必要がある。
船舶AMS(Vessel AMS)は、個別にB/L申告できるよう作られていない。すなわちバッチで送信されなければならないが、この問題は、ACEプログラム構築で検討されている。
(2)コメント(7~8)
米国到着後、税関フォーム(CF)3171によって積み下ろし許可を申請するが、そのマニフェスト提出及び所要時間(Time Frame)に係わる手続きを明確化してもらいたい。
関税庁の見解
キャリアは、米国到着48時間前に(CF)3171を申請する。キャリア、NVOCC、スペース・チャーターは(船舶ペーパーレス試験参加者を除く)、米国到着24時間前に、積載している空(empty)のコンテナのマニフェストを米国税関に提出しなければならない。
(3)コメント(複数)
電子化されていないキャリア及びNVOCCが税関に文書でマニフェスト情報を提出するためのプロセスを、CSI参加港(CSI港)とCSI不参加港(非CSI港)の両方について明確化してもらいたい。
コンピュータがダウンしている時および通信不良の時にマニフェスト情報を提出するプロセスを明確化してもらいたい。
関税庁の見解
CSI港で文書の貨物デクラレーション情報を税関に提出する際、キャリアの代表者(Authorized Representative for the vessel carrier)は、CSI港の所定場所(designated site)に駐在する米国税関検査官に直接デクラレーション情報を提出することが求められる。
しかしながら、これに係わる正確な手続きは国毎に異なる。国毎にCSI合意内容が異なるからである。米国関税庁は、個々のCSIが合意され次第、詳細情報を貿易関係業界に開示する。
文書の貨物デクラレーション情報を非CSI港の税関に提出しようとするキャリアは、外国港での積込み24時間前に米国税関に貨物デクラレーション情報が提出されていることを確実にしておく責任がある。
FAXやAMS以外の電子送信によって直接税関に送付されても、かかる提出はオーソライズされない。電子化されていないキャリアは、船舶代理店(Vessel Agent)、サービスプロバイダー、各地の港湾管理者(Local Port Authority)、あるいは米国内のビジネス・パートナーの電子サービス支援を受けてよい。貨物デクラレーション情報を受け取った米国内企業が直接米国税関に届けることになる。文書の貨物デクラレーション情報は、外国港での積込み24時間前に到着予定の米国港へ提出されなければならないが、当該電子化されていないキャリアが、完全な貨物デクラレーション情報を米国内の各寄港予定港の税関へ、外国港での積込み24時間前に確実に提出されることに対する責任を有する。これが実行されない場合には罰則または積み下ろしが許可されないこともあり得る。
貨物デクラレーション情報の税関への提出に際して、電子化されていないキャリアは、船舶代理店(Vessel Agent)、サービスプロバイダー、各地の港湾管理者(Local Port Authority)の電子サービスを利用してよい。あるいは米国内のビジネス・パートナー(電子化されていてもされていなくともよい)を利用してよい。電子化されていないキャリアが、船舶代理店(Vessel Agent)、サービスプロバイダー、各地の港湾管理者(Local Port Authority)の電子サービスの支援を受けて貨物デクラレーション情報を米国税関に提出した場合、ホールド通知はAMSを通じて伝えられる。しかし、当該電子化されていないキャリアが米国の支社等(domestic Representative)を通じて文書で貨物情報を申告した場合、米国税関はホールド通知を当該米国内支社等に知らせる。この(ホールド)通知は、当該米国支社が現地港湾の税関で受け取る文書に記載される。必要な情報をキャリアに通知するのは当該米国支社の責任である。
貨物デクラレーション情報の提出に際して、電子化されていないNVOCCは、船舶代理店(Vessel Agent)、サービスプロバイダー、各地の港湾管理者(Local Port Authority)の電子サービスを利用してよいが、電子化されていないビジネス・パートナーを利用することはできない。米国税関は、電子化された企業から提出され、そもそもは電子化されていないNVOCCからの文書の貨物デクラレーション情報はいかなるものも受け付けない。
AMSプログラムの送信不良に関しては、米国関税庁は参加者がAMSを本格使用する前に、参加者のコンピュータがメッセージを正確に受発信できるかテストプログラムを実施している。もし事前テストが不調であった場合は、AMS参加希望者が本格使用するのを認めない。
コンピュータダウンの問題は、Customs Directive 3240-075で概要が示されている。現状、許容されているコンピュータの停止時間は2時間であるが、状況が許す場合にこの2時間以上を認めるかどうかは港湾管理責任者(Port Director)の裁量である。システムが2時間以上ダウンしているキャリアは、顧客に通知し、Customs Directive 3240-075で示されている文書貨物デクラレーション情報の申告方法を知らせなければならない。
(4)コメント(複数)
米国関税庁は、NVOCCが管理できないと見なされるデータエレメントの申告の除外を認めてもらいたい。
関税庁の見解
AMSプログラムは、データエレメントの欠落を受け付けない。必用な入力項目が全て入力されていなければ、AMSは拒否メッセージを返信する。電子化対応し、これまで何等の問題もなくオペレーションしてきたスペース・チャーターがあるということを強調しおきたい。キャリア、NVOCC、スペース・チャーター間で手続きを定め、NVOCCあるいはスペースチャーターによってマニフェストされていながら積込まれなかったコンテナがある場合には、キャリアは、マニフェスト情報を修正できるようNVOCC、スペース・チャーターに通知しなければならない。
(5)コメント(複数)
船積みプロセスが一定期間に亘って行なわれた場合、貨物がいつ船積みされたのかを、米国税関はどうやって知るのか?
関税庁の見解
貨物積込の推定所要時間についてのデータを求めることも検討したが、不必要であると判断した。
(6)コメント(複数)
最初のマニフェスト情報送信といつ修正送信がされたかを確認するのに必要な手続きとは?
関税庁の見解
AMSプログラムは、検査官が個々のB/Lについて全ての送信情報を見ることができる通信スクリーン機能を持っている。すなわち、B/Lが変更、追加、削除される度に、税関はこれら通信を受け取るということである。
(7)コメント(2~3)
電子化されたNVOCCがマニフェスト情報を直接税関に申告したかどうか、どのようにキャリアが判断するのかについての手続きを明確化知れもらいたい。
関税庁の見解
AMSはSecond Notify Partyを確認できるフィールドを持っている。
Second Notify Partyは、いつB/Lが申告されたかをキャリアに知らせ、リリースメッセージだけでなくホールドメッセージをキャリアに与えるものである。このデータフィールドはこれまでは義務的なものではなかったが、米国関税庁では、全ての電子化されたNVOCC及びスペース・チャーターが同フィールドに入力するよう求めることにしている。
(8)コメント
ホールド通知が船積み港のキャリアに送られず、タイムゾーンの異なる他の地域に居るNVOCCに送られた場合、米国税関の指示への迅速な対応に影響を与えることになる。
タイムゾーンの差異は、いつまでが24時間前であったのかについて混乱をもたらす可能性がある。
関税庁の見解
このような状況の場合には、キャリアとNVOCCは通信ラインで相互に接続されておく必要があるだろう。AMSでは、税関への申告者に対してB/L通知を送ることになる。税関へAMSで申告されたB/L情報は米国東部標準時に基づく日時がスタンプされる。
AMSのSecond Notify Party機能の利用は、電子化されたNVOCCあるいはスペース・チャーターがいつホールド・メッセージを受け取ったのかについての追加情報をキャリアに与えることになる。

15.Load/No Load Messages to the Carriers
(1)コメント(7~8)
米国税関によるコンテナ積込み許可をキャリアに出してもらいたい
米国税関から何も通知がない場合、積込みは許可されたとみなしても良いのか?
積込みの24時間前にマニフェスト情報を申告しても、その後24時間が経過する前に積込みを開始することを許可してもらいたい
関税庁の見解
積込み許可を米国税関からキャリアに電子的に通知するという考え方に、原則として賛成するものである。しかし、24時間ルールの実施までに必要なプログラムを作成することはできない。AMSでこうした通知ができるのか否か調査した後に結論を出すことになろう。
AMSが積込み許可通知を出せるようになるまで、事前申告後24時間以内の積込みを認めない。

16.Business Practice Issues
(1)コメント(多数)
貨物積込24時間前に詳細なマニフェスト情報を入手することの妥当性についての疑問が寄せられている。
ビジネス・オペレーションの効率性に与える影響についての懸念と、特に24時間ルールが企業の財務面に及ぼす影響についての懸念がある。
詳細なマニフェスト情報は貨物を積込む前には容易に収集できないものであるが、かかる情報を求められていることによって物流が阻害/遅延するのではないかというのが大きな懸念である。かかる24時間ルールによって出航日を逸し、十分なセキュリティあるいは蔵置スペースを備えていないドックに貨物が留め置かれてしまうことになりはしないかとの恐れがある。
財務上の影響に関する問題とは、航路、業務の進め方、人員の増加、ボンド取得費用を含む自動化コスト、蔵置施設のリース等業務の進め方の変更に係わるものである。
関税庁の見解
関税庁も効率的な国際海上物流に関する懸念を認識しており、CSIプログラム策定及び本24時間ルールに際して、この懸念に対応するために3つのステップを踏んだ。
最初に以下について銘記しておくことが重要である。すなわち、事前に米国税関に提出されなければならないのは、コンテナの内容についての情報であり、コンテナそのものではない。積込み24時間前に米国税関に申告される限り、コンテナそのものが港に持ち込まれるのは遅れる。
CSIプログラム及び24時間ルールは、現状の船積みサイクル(Shipping Cycle)を利用できるよう考えられている。殆どの外国港で、米国向けコンテナはターミナルに7-8時間~7-8日間蔵置されている。この事実は、米国税関及び外国のCSI参加パートナーが、不必要な遅延を生じることなく通常の船積みサイクルの中でハイリスクコンテナを発見しスクリーニングするのに十分な時間を与えるものである。
外国みなとで、通常の船積みサイクルの中でスクリーニングを行うことによって、米国税関は、米国到着後コンテナを極めて迅速に通過させることが可能になる。これによって、米国に到着してからコンテナをスクリーニングすることによって生じる遅延を減少させるだけでなく、米国内港からのコンテナの移動に対する予見可能性を大いに高めるものになる。
24時間ルールに基づくマニフェストデータ申告が、(これまでの)ビジネスの進め方へ何等かの変更を加えることが求められる可能性を認識している。たとえば、米国税関によって求められているデータの多くが船積み前に入手可能であるとしても、企業が、24時間ルール遵守のためにかかるデータを収集し申告するのに現状対応できていない可能性があることを認識している。この理由により、米国関税庁は24時間ルール施行語の60日間のフェーズ・イン期間を設けたのである。
また、現在想定されていないものがサプライチェーンやビジネスの進め方に変更を加える可能性についても関税庁は認識している。したがって関税庁は24時間ルールの実施を注意深くモニターしていくことにしている。また財務省(Department of Treasury)では、24時間ルール実施によって生じる実施上の問題について、関税庁に助言するための小委員会を設置すべくCOAC(Advisory Committee on the Commercial Operations of the U.S. Customs Service)を招集することになっている。
(2)コメント
24時間前マニフェスト情報申告は、今日広く利用が進んでいる「ジャスト・イン・タイム」在庫管理手法に大きな障害となる。
関税庁の見解
関税庁が求めているのは貨物情報の申告であって、貨物の検査準備をすること、または、貨物をドックに留め置くことを求めているのではない。しかし、24時間ルールは、ぎりぎり最後の追加的船積み(last minute load)についての現在の進め方に変更を余儀なくさせる可能性を認識しているが、24時間ルールで影響を受けるのはこの部分だけである。上でのべたように、米国向け貨物の殆どは、外国港で船積み前に7-8時間~7-8日間蔵置されているので、24時間ルールは現状のジャスト・イン・タイムに影響を与えないだろう。
(3)コメント(多数)
手続きの明確化を求めるコメントが多数あった。このうち多くが、貿易当事者間の契約合意内容にかかわるものであった。その他のコメントでは、キャリア、NVOCC、セキュリティプログラム参加関係港、フィーダー船に対するマニフェスト要件について一層の明確化の必要性を述べるものであった。
関税庁の見解
民間企業の貿易契約(私的契約)合意事項に関する範囲について税関は関与しない。 24時間ルールで求められている情報は、貨物デクラレーション(CF1302)で求められる情報に沿って本規則で述べられているデータエレメントを含むものであり、この要件は、米国行き船舶(inward foreign vessel carrier)が(FROBを含めて)米国向け貨物の積込みを行なう全ての外国港に適用される。
「inward foreign vessel carrier」とは、外国から米国へ来る全ての船舶のことを指し、外国間のトランシップ貨物または米国に寄港しない船舶に対しては、本規則に基づくマニフェスト申告が求められない。
米国へ来る前に多くの外国港へ寄港する船舶(inward foreign vessel carrier)は、その前の港で既に申告隅の貨物デクラレーション情報を、その後の寄港地から再申告する必要はない。
AMS船舶の到着が生じない限り、同一のキャリア、船舶、航海についてマルティプル・マニフェスト申告が可能である。
キャリアはそれぞれの寄港地毎の新たな貨物デクラレーション情報の申告が求められるだけである。NVOCCおよびスペース・チャーター(vessel AMSによってマニフェスト・データ申告を認められている)は、、米国向け貨物に関するマニフェスト情報申告について、キャリアと同じ要件に従うことになる。

17.Lead Time
コメント(7~8)
24時間ルール実施までの猶予期間の設置についての要望があった。特に2つのコメントのうち、一方が実施までの6ヶ月のリードタイムを要望し、他方が12ヶ月のフェーズイン・アプローチを採るよう要望した。
関税庁の見解
24時間ルールは国家安全保障の喫緊の課題に対応するものであり、迅速に実施されなければならない。CSIプログラムを強化し、大量破壊兵器の違法輸入リスクを低下させるため、米国税関は事前申告情報の受付を開始しなければならない。しかしながら産業界の懸念を認識して、24時間ルール施行日後60日間の間、本規則の完全執行(full Enforcement)を遅らせることにした。本規則発表日から施行日までの30日間と併せて、完全執行(full Enforcement)までにトータル90日間を認めることになる。

18.Proposed Rule Will Result in Loss of U.S. Ports Business to Canadian Ports
コメント(多数)
24時間ルールによりカナダ港にビジネスを奪われる懸念がある。貨物がまずカナダで陸揚げされ、トラック/鉄道によって米国内へ迂回輸送されることを懸念している。
関税庁の見解
米国税関検査官がカナダ港に駐在しカナダ税関と協力している。セキュリティのチェックを避けるためにカナダに迂回されたと米国あるいはカナダいずれかの税関が疑いを持った場合、当該貨物は「ハイリスク」として扱われることになる。

19.Requirements for“FROB”CARGO and NVOCCs
コメント(7~8)
FROB貨物(Foreign Cargo Remaining on Board:米国で荷下ろしされない第3国向け貨物)も24時間ルールの適用を受けるのか?
関税庁の見解
FROB貨物も米国内を経由するのでセキュリティ上の懸念はある。現状、キャリアはFROB貨物について米国到着後直ちに報告しなければならないので、新規則に基づいて外国港での積込み24時間前に報告しなければならない。

20.Request That Carrier Be Exempt From Rule if Participant in C-TPAT
コメント(7~8)
C-TPAT参加者は24時間ルールから免除されるか、外国港での積込み前ではなく米国到着前の申告を認められるべきである。
米国税関が迅速な通関を行えるよう、「荷主リスト(known shipper list)」を整備すべきである。
時間的制約を課されることなくマニフェスト情報の修正をできるようにすべきである。
関税庁の見解
C-TPAT参加者も24時間ルールから免除されないが、参加者であることは考慮される。

21.A Denial/Delay in Granting Permit To Unlade Will Causes Port Congestion
コメント(多数、特に港湾管理者(Port Authorities)から)
荷下ろしが許可されない、あるいは許可が遅れた場合、米国港の混雑を招くことになるのではないか。
関税庁の見解
申告情報の内容が不正確であったりタイムリーに申告されなかった貨物には荷下ろしが許可されない。すなわち、事前申告情報が申告されなかった貨物だけが荷下ろしできないだけである。さらに、申告情報が事前にタイムリーに申告されなかった場合、そもそも当該貨物は船積みされるべきではない。かくて、米国港が混雑すると結論付ける理由はない。

22.Time for Presenting Manifest Should Be When Vessel Departs or Later
コメント(7~8)
事前申告は、外国港出航時あるいはそれ以降のタイミングの方がより実行し易い。
関税庁の見解
本規則の目的は、申告内容を審査しセキュリティ上の懸念を持つ貨物(特に大量破壊兵器を積載している)を発見できるよう十分な時間を米国税関に与え、かつ外国港から米国に向けて出航する前に、貨物が積込まれることを拒否することにある。関税庁としては、規定されている24時間は上記目的にとって必須であると信ずる。

23.Need for Risk Analysis Regarding Implementation of 24 Hour Rule
コメント(複数)
関税庁は、24時間ルールを実施する前にリスク分析(Risk Analysis)を行うべき。
関税庁の見解
テロリストのリスクについて分析を行ってきており、この分析からCSIプログラムおよび今回の24時間ルールの発表につながった。

24.The 24 Hour Requirement Is Too Long for Sort Voyages/Hauls
コメント(7~8)
24時間要件は、航海時間に24時間を要しない短距離航海にとって長すぎる。
関税庁の見解
短距離航海であっても24時間ルールから免除されない。外国港で積込まれる貨物が持つ潜在的リスクは長距離航海と同じである。米国関税庁は、24時間ルール遵守がビジネス慣行にある種の変更を迫る可能性があることを認識している。しかし、米国及びグローバル・トレードを保護するためには、かかる変更も必要である。

25.Handling of Empty Containers Aboard Vessels
コメント(7~8)
空(empty)のコンテナについてもマニフェストを24時間前に申告しなければならないのか?
空のコンテナとは、積込み(Stowage)プランを完了するために用いられるものであり、スペースの残りに合わせて最後に積込まれる。もし空のコンテナが積込まれないことになれば、キャリアは空のコンテナについて追加的なコスト負担に直面することになる。
関税庁の見解
キャリアは、空のコンテナについては24時間前に申告する必要はない。AMS参加者は、全てのコンテナ番号を列記している一本のB/L(single Bill of Lading)で空のコンテナに関する情報を報告しなければならない。文書で貨物デクラレーションを申告する者は、全てのコンテナ番号を列記している一本のB/L(single Bill of Lading)に空のコンテナも合わせて記述しなければならない。
空のコンテナのマニフェスト情報申告は、電子にせよ文書にせよ、米国到着24時間前までに申告しなければならない。現在の船舶ペーパーレス・マニフェスト試験(Vessel Paperless Manifest Test)参加者はこの要件から除かれる(同テスト参加者は、引き続き米国到着48時間前までに空のコンテナのマニフェスト情報を申告しなければならない)。

26.Correction of Maritime Information
(1)コメント(7~8)
貨物積込み前に申告した情報の修正を(航海の)途中で申告することが許されるか?
関税庁の見解
事前申告プログラムの主たる目的は、外国港での積込み前に正確な情報を受け取ることにある。この方法によってのみ、米国税関は、潜在的なハイリスク・コンテナを確認し船積みされるのを阻止するためのツールを利用できる。テロリストが海上貨物を理由するのを阻止することに成功するとすれば、正確な情報こそがその本質である。しかしながら、船積み後、修正情報がキャリアに提出される可能性もあることを認識している。この修正情報が当該船積みに関するリスク評価を支援することになるので、米国関税庁では、この修正情報が提出されること期待しており、また修正情報が提出されるメカニズムを保証するだろう。しかしながら、外国での船積み後の何らかの情報内容の変更を受け付けると言うことは、当初の事前申告情報が不正確で不完全であることを正当化するものではないことを理解しておかなければならない。
修正されたマニフェスト情報を受け付けるためには、マニフェスト・ディスクレ・報告(Manifest Discrepancy Reports)に関する規則改訂が必要になる。同規則改訂はできるだけ早い時期に、あらためてフェデラル・レジスターで発表されることになろう。
(2)コメント(7~8)
(マニフェスト・ディスクレ報告に関連した質問として)封印されたコンテナ(sealed container)の内容について、キャリアはシッパーズ・デクラレーションに頼って良いのか?
関税庁の見解
前問での関税庁の見解のとおり、ディスクレ報告に関する新規則をフェデラル・レジスターで発表する予定であるが、それまでは、キャリアはディスクレ報告に関する現行規則に従わなければならない。現行規則は、封印されたコンテナに関するシッパーズ・デクラレーションを利用しているキャリアに対するガイドラインを含んでいる。
米国関税庁は、24時間ルールに基づいた完全で正確なマニフェスト情報の変わりに、マニフェスト・ディスクレ情報が利用されることを認めない。

27.Regulatory Flexibility Act; Executive Order 12866
 (準備中)24時間ルールが中小企業に与える経済的影響についての議論

28.Paperwork Burden
コメント(7~8)
プロポーズド・ルールで示されている情報収集負担に関する米国関税庁の推定はかなり過小評価である。プロポーズド・ルールで示されている事務処理時間数は、電子申告を利用する場合であっても(24時間ルール実施に伴って)必要とされる追加的時間や文書事務処理を考慮に入れていない。
関税庁の見解
情報収集負担について過小評価していたことを認める。したがって、推定値を情報修正した。
24時間ルール開始当初には、情報収集に要する時間数はかなり増えると言う点について関税庁も同意するが、企業も慣れてくればかかる負担も減少していくと予想している。

以上


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