
JMCの事業
平成17年度の世界経済は、原油高、アジア経済の成長鈍化などから成長率が前年度よりやや低下するものの、3%台の安定成長を維持するものと見込まれ る。すなわち、米国経済は、個人消費が堅調であり、また、ITを中心とした投資も盛んなことから3%台の成長を維持するが、欧州経済は、高い失業率による 内需の停滞、ユーロ高の輸出への影響などから引き続き低成長で推移するものと思われる。一方、アジア経済は、中国が過熱経済の抑制で成長率をやや鈍化させ るものの、内外からの高水準の固定投資や好調な輸出から比較的高い水準を維持するが、韓国、台湾等が内需の低迷などから成長率を鈍化させていることから、 全体としては成長を減速させるものと予想される。
貿易・投資環境は、世界経済を牽引するアジア経済の発展などを背景に、二国・地域間の貿易投資の自由化を実現する経済連携協定締結の動きが益々活発化 し、また、強い国際的な規律を確立するWTO新ラウンドでの自由化交渉が実質的に進展するものと思われる。このほか、米国の巨大な財政と貿易の双子の赤字 や資源価格の高騰は、世界貿易の波乱要因となる可能性がある。
このような世界経済の下、わが国機械輸出は、世界経済の成長鈍化からやや伸び率を低下させるものの、統合型製品を中心とした国際競争力の向上、東アジア の経済発展と生産分業の進展などによって、安定的に推移するものと予想される。また、わが国機械産業の海外投資や内外企業との連携は、国際競争の激化、ア ジア地域経済圏等での現地生産の拡大・深化、生産分業の進展などから引き続き活発化するものと思われる。
このような情勢のもと、わが国機械業界は、国際貿易・投資において、次のような課題に直面している。
一、
アジア諸国等との経済連携協定(EPA)の締結を促進して、発展するアジア経済圏等での生産・販売・流通ネットワークを維持強化するとともに、WTO新ラウンドを推進して、国際規律を確立し、貿易投資環境の改善を図ること。
二、
経営戦略、技術・知財戦略、アジア等との分業化戦略、グローバル戦略等の高度化、高度システムプラントの輸出促進を図り、回復しつつあるわが国機械産業の国際競争力を持続的に強化するとともに、税制改正、知財権保護の強化、輸出入制度・手続の改善・物流の効率化等によってわが国の制度インフラの改善を図ること。
三、
世界的に法制化が進む資源・製品リサイクル、有害物質使用規制、地球温暖化防止、省エネなどに積極的に対応し、世界をリードするとともに、製品安全や消費者保護を徹底し、企業の社会的責任を果たしていくこと。
四、
輸出自主管理体制の強化によって、懸念国や国際テロ組織への大量破壊兵器等の拡散を防ぐとともに、輸出入におけるテロ対策などに適切に対応すること。
日本機械輸出組合は、かかる課題に対応するために、平成17年度は次の事業を実施する。
1.経済連携、貿易・投資・市場対策
(1)
わが国のフィリピン、マレーシア、タイ、韓国、ASEAN等とのEPAの締結動向をフォローし、わが国政府等に対して業界意見を提言するほか、EPAの活用方法を検討する。また、WTO新ラウンドを推進し、貿易円滑化、サービスの自由化、工業製品の関税率の引き下げ、アンチダンピング規律の強化などを実現する。
(2)
米欧、アジア、中南米諸国等の貿易・投資・課税関係規則、政府調達規則、原産地規則、米国、中国等アジア諸国の知財権関連規則、欧米の競争法の立法、改定、執行の動向をフォローし、情報提供するとともに、貿易・投資を阻害する動きに対しては、意見・提言等により是正を図る。また、各国・地域の貿易・投資上の問題点を調査し、二国間政府協議、APEC、ASEMでの活動、WTO加盟交渉、租税条約の改定などを通じて改善を図る。
(3)
世界経済を牽引する中国の政治・経済・産業・貿易・投資動向、WTO加盟条件の履行状況をフォローし、知財権保護などの対策を実施する。また、中国、ASEAN諸国、インド等における自由貿易協定(FTA)締結、ASEANの域内貿易の自由化などの動向をフォローし、活用方法などを検討する。さらに、欧州経済統合の拡大・深化、中南米経済統合の動向をフォローするとともに、インド、ロシア、ブラジル等の有望国の機械需要、貿易・投資環境を調査するほか、東アジア諸国の通関・港湾・輸送等の物流コスト削減策を検討する。
2.国際競争力強化対策
(1)
日米欧アジア機械産業の国際競争力を毎年測定し、変動とその要因、問題点を分析する。
また、国際競争力の持続的発展のための経営戦略、研究開発・知財戦略、組織能力強化策、IT戦略、アジアとの分業戦略、グローバル戦略などを検討し、国際競争力強化セミナー等で企業戦略への活用を図る。
(2)
国際競争力強化のための税制、投資・研究開発支援策、知財政策、会社法制度、規制緩和、国際標準化政策、教育・人材育成策などわが国の制度インフラを検討し、わが国政府に対し意見・提言を行う。
(3)
国際物流の効率化による国際競争力強化のため、WTO等での貿易円滑化、通関制度・手続の国際標準化、米欧アジアでの通関システムの電子化の動向をフォローし、わが国政府に対して制度改善策を提言する。
3.貿易と環境、製品安全対策
(1)
欧州における廃電子機器リサイクル指令、有害物質使用規制の国内法制化と実施状況、EUの統合廃棄物政策、環境配慮製品設計指令、新化学物質規制、企業の社会的責任(CSR)、EU新加盟国の環境関連規制等をフォローし、海外事務所と連携して対策を実施する。また、米国、中国、アジア諸国等における環境関連法規の立法・施行動向をフォローし、問題があれば意見・提言を行う。さらに、京都議定書に基づく各国のCO2削減対策、WTO等での「貿易と環境」に関する検討状況をフォローし、対応を検討する。
(2)
製品安全に関しては、EUにおける新EMC指令、低電圧・機械・R&TTE(通信機器)等指令の見直し、EU新加盟国の標準化問題、電磁波人体暴露問題をフォローし、情報提供、意見・提言するとともに、台湾、韓国、中国の強制認証、アジア諸国等各国の基準・認証動向を調査し、対策を検討する。また、FTA/EPAに含まれる相互承認の動きをフォローし、意見提言を行う。
海外の製造物責任(PL)制度については、欧州主要国の規制内容、運用実態を調査し、情報提供するとともに、中国のPL関係判例、タイのPL法制定動向をフォローする。
4.輸出管理・危機管理対策
(1)
わが国の輸出管理規則・運用の制定・改定に関し、懸念国、国際テロ組織等への大量破壊兵器等の実効ある拡散防止について、民生貨物・技術のハイテク化、国際物流の円滑化の観点などから検討し、政府等に対し意見・提言を行う。また、ワッセナー協定等の国際会合での規制の変更や米国の輸出管理動向に関する動向をフォローし情報提供するとともに、米国の再輸出規制等の問題に対し意見・提言する。
(2)
輸出管理関連法令集や解説書等の作成、わが国の新たな規制・運用に関する説明会の開催などによって適切な対応を図るとともに、輸出管理手続等貿易・為替管理制度・運用に関する相談業務の充実を図る。
(3)
米欧等がテロ対策として実施している輸出入通関や物流における措置をフォローし、情報提供するとともに、貿易手続円滑化、物流効率化の観点から、問題があればわが国政府等を通じて意見・提言する。
5.プラント・エンジニアリング輸出促進対策
(1)
海外プラント成約状況を集計し、海外市場動向、受注要因等を分析するとともに、プラント輸出促進のための輸出金融・保険制度、経済・技術協力、トップセールスなどを検討し、輸出支援策を提言する。
(2)
アジア諸国等のインフラ整備やわが国のエネルギー安全保障等の確保に寄与するプロジェクトの推進策や貿易投資上の問題を検討し、わが国政府のトップセールスに活用する。また、EPA締結に際してのプロジェクト遂行上の問題解決や機器調達等でのEPAの活用、CDMを活用したプラントの輸出促進策を検討する。さらに、アジア等での民活プロジェクト動向と実施上の問題点、中国東北地区振興計画、中国プラント業界のアジア進出実態などを調査し、対応を検討する。
6.機種対策
(1)
中国東北三省及び西部三都市の大気汚染対策、汚水・廃棄物処理、製品リサイクルの実態調査、企業化調査を実施する。また、中国における複写機、工作機械、建設機械等の中古品の流通実態と中国華北地区のベアリング産業、韓国の農業機械・内燃機械産業の実態を調査し、対応を検討する。
(2)
韓国機械業界、欧米フォークリフト業界との産業協力を推進する。
(3)
共通講演会、地域懇談会、部会会議、工場見学会等を実施するとともに、成長著しい中国、ロシアの機種別輸入統計情報を提供する。
7.貿易保険事業
(1)
多様化する貿易取引のリスクカバーの充実を図るために、わが国の貿易保険制度とその運用を実態に即して検討し、政府、(独)日本貿易保険(NEXI)に対して意見・提言等を行う。また、NEXIの第2期中期目標に基づき、組合包括保険制度の見直しを含め新貿易保険制度を検討し、意見・提言を行う。
(2)
貿易保険申込等の業務に関するNEXIの次期システムへの対応を図り、効率的なシステムを構築する。また、貿易保険の利用に関する相談業務、ホームページ等による迅速な情報提供、解説書の作成、セミナー、実務者講習会、個別企業説明会の充実を図る。さらに、短期総合保険等の申込代行業務を拡大し、組合員の利便性の向上に努める。
8.輸出管理・危機管理対策
(1)
海外需要予測、市場戦略等のため、わが国機械輸出入統計データベースや国際統計データベースを運営し、各種統計データを提供するとともに、わが国及び世界の機械貿易動向や機械輸出入構造を分析し、情報提供する。
(2)
世界の貿易投資障壁、WTO新ラウンド動向、機械貿易統計データ・動向分析、世界のIT産業動向、米欧等の通関テロ対策、当組合の内外提言活動、貿易保険業務、作成書籍・報告書等に関する情報をホームページで提供するとともに、海外事業、業務に必要な情報を電子媒体で提供するシステムを確立する。また、通商・投資、国際競争力、環境・安全、貿易保険、輸出管理、海外規制動向等に関する論文、解説等については、総合情報誌(JMC Journal)を毎月発行するなど多面的な情報提供を行う。
(3)
組合員の人材育成を支援するため、機械輸出実務基礎講座、研修会、セミナー等の充実を図る。
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