フィリピンにおける貿易・投資上の問題点と要望

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本表の見方
 
14. 税制
経由団体※
問題点
問題点の内容、国際経済法上・二国間協定上の解釈
要望
準拠法、規則、運用
日鉄連
(1) 付加価値税の煩雑・過重負担と関税の精算 ・入荷時、VAT12%支払(Invoice Amountベース)。
支払時期:貨物入着時(Invoice Amountを入着時の為替レートでPESOに換算、その12%をPESOベースで支払う)。
関税の精算(Invoice Amount/SGS'S Clean Report of Finding上のHome Consumption Value/輸出国における実際のHome Consumption Value〔税関は主要国の価格リストを所有〕の内、一番高いものをベースとして再度関税を計算、また入荷時の為替レートをファイナルとして再計算し差額を精算する)。
・制度の撤廃。
    (対応)
・2005年11月、付加価値税を10%から12%に引き上げ、仕入税額控除の限度額設定を含む新付加価値税法が施行された。
・2006年2月1日から付加価値税率が10%から12%に引き上げられた。
日機輸
(2) 付加価値税の還付遅延・未還付 ・VAT(付加価値税)につき、還付ポジションになっていても、円滑な還付がなされない。商工会議所、日本大使館を通じて、政府に対して、頻繁に要望を出している。税制改正により改善される予定だが、確実に実現させていただきたい。
・円借款事業であっても、制度に反し、売上VATより仕入VATが上回っている場合でもVATの還付が実施されない(手続が進まない)。
・PEZA企業はVATが免除されているにも関わらず、一旦、仮払いしなければならず、しかも、依然とVATの還付が滞っていて、返金の目処が全く立たない。商工会議所や大使館を通じてフィリピン政府に改善要望を頻繁に出しているが、未だに全く改善されていない。
・仮払いVATの還付が滞っており還付の目途が立たない。税務裁判で勝訴が確定した後も還付手続きに時間がかかっている。
・円滑な還付は付加価値税を導入する場合の基本であるので、それが運用できないのは著しく、商取引に悪影響を与えること、理解させて欲しい。
・確実な還付の実行をお願いしたい。
・還付が為されていないのでVATの仮払いを免除して頂きたい。
・迅速なVAT還付を切実にお願いしたい。

・審査・手続きの迅速化。
・フィリピン内国歳入法
National Internal Revenue Code Sec.112
・税務回状(RMC-54-2014号)
    (対応)
・1988年、VAT法施行。
・0%VAT企業(VAT取引として0%課税取引が適用される企業)のVAT還付請求に対して、財政難から還付の遅延が著しく、また現金還付に代えて国税支払いに充当可能な税額控除証明の発行を受けるケースが多いという。
・2005年11月施行の新付加価値税法により、仕入税額控除の限度額設定(受取VATから控除できる支払VAT額は受取VAT額の70%を限度とする)規定が設けられた。これにより企業は、アウトプットVATの70%を超過したインプットVATを翌四半期以降に繰り越すことが義務付けられた。
・2006年9月に在米比商工会議所が発表した調査結果で付加価値税の還付の問題を最も負担となる3つの手続きの一つとして挙げている。
・2006年12月13日、インプットVATの70%上限を撤廃する共和国法第9361号が発効した。これにより企業は、原材料からのインプットVATの100%を同一課税期間の販売時のアウトプットVATに転嫁することができ、収支の整合性を調整することが可能となる。
・日比経済連携協定で設置されたビジネス環境整備委員会でフィリピンのVAT還付遅延問題が取り上げられており、フィリピン内国歳入庁(BIR)は、それぞれの還付請求状況を確認の上、日本大使館に情報提供し、還付促進に努めているという。(2010年5月20日付JETRO通商弘報)
・2007年まで免税で原材料を輸入できたBOI登録企業のプラスチック原材料のコンパウンドが、2008年から全て課税となった。再輸出申請によりVATの還付を受けることが可能であるが、煩雑な還付手続きにより還付遅延が慢性化している。
・2011年7月、付加価値税の還付証明書(TCC)の第三者への譲渡が禁止された。
・2012年7月2日、付加価値税(VAT)の還付証明書(TCC)の割引に関するガイドラインが公表された。
・2013年3月28日、日比EPAの第4回ビジネス環境整備小委員会を開催し、VAT還付問題について議論が行われた。
JEITA
日機輸
(3) 恣意的な税務調査・追徴課税 ・多大な書類の提出、一方的で論理性のない追徴連絡等、毎回多大な時間と費用を費やされる。挙証責任は全て納税者側にあり、税務調査のあり方に課題。
・一方的で論理性や整合性がない追徴課税を要求される事が多々あり、税務調査のあり方に非常に強い不満がある。
・税務当局の体制、調査のあり方を含めた本質的な改革。
・BIRの根本的な意識改革(滅私奉公の精神)を切実にお願いしたい。
JPETA
(4) 租税条約の債務者主義採用による使用料の源泉徴収義務 ・フィリピンとの租税条約において使用料の所得源泉地として債務者主義が採用されていることにより、駐在員事務所で賃借している車、コピー機の使用料に源泉徴収義務が生じている。一方、現地業者から日本国の税金負担の理解は得られず、納税義務者である当社の負担にならざるを得ない状況になっている。 ・租税条約上の債務者主義撤廃による使用料の源泉徴収義務の廃止。 ・租税条約
日機輸
(5) 長期を要する租税条約軽減申請の審査期間 ・日比租税条約に基づく二重課税回避の為の租税条約軽減申請(TTRA)は、申請の為の書類準備にも時間がかかるが、BIRに申請後、審査が非常に長く承認書が発行されるまでに数年を要する事も珍しい話ではない事が周知の事実となっている。BIRよりの受領証明書が交付された時点で実務上の軽減税率を適用するのが慣例となっているが、全てが承認されると云う訳ではない為に、リスクを考慮すると折角の条約も活用が躊躇される。 ・BIRによる審査期間に期限を設けて(例:60日間)、期間内に回答のないものは承認されたと見なされる様な制度の策定をお願いしたい。 ・日比租税条約
日機輸
(6) 拡大源泉徴収税支払による資金負担の問題 ・フィリピンでは、拡大源泉徴収税(EWT)として、納税トップ2万社または高額納税者からの国内業者への物品やサービスの対価の支払いに対して、法人税の前払いとして、源泉されてしまう(物品は1%、サービスは2%)。キャッシュフローに大きな影響を与える上に、還付を受けるまで時間がかかる。 ・資金負担を考慮して、廃止して頂きたい。
日機輸
(7) 再生可能エネルギー免税手続の遅延 ・再生可能エネルギー(RE)の免税は、DOE(エネルギー省)での審査後にDFC(免税証明書)がBOI(投資委員会)より発行されて輸入免税となるが、DOEの申請からDFCの発行まで数ヶ月、或いは半年以上掛かる。DFCの発行まで注文書が発行出来ない規則となっている為に、見積り有効期限が切れてしまい申請時の価格と異なってしまう事があり、価格が上がった場合には、差額分が免税対象にならない。 ・客先内での注文書の発行をより円滑とする為に、DOEの審査やDFCの発行は、2週間ほどでの完了をお願いしたい。 ・共和国法第9513号(RA9513)
日機輸
(8) 会計システム導入・変更の許可取得手続の遅延 ・会計システムの導入・変更に、税務当局(BIR)の許認可必要。
BIR体制の問題より、許可取得に1年以上要するのが現状。
・税務当局の体制改善。
日機輸

(9) 日本企業に対する内国税免除の運用非効率と細則未整備 ・円借款案件の受注日本企業に対する内国税はフィリピン側の所轄官庁による負担が通例になっているが、フィリピン政府内の実施手続きが煩雑もしくは具体的な運用規則が定まっていないため案件遂行に支障が生じている。
特に、関税と輸入VATの処理には貨物の港湾到着から最長3ヵ月を要しており、その間貨物がリリースされないことから様々な問題が派生している。
・フィリピン政府や官庁による税負担ではなく、案件自体を免税扱いすることで効率化を図って頂きたい。
・円借案件に関する日本企業の税申告が不要となるよう制度を整備願いたい。
・フィリピン側の諸手続き実施プロセス細目を明文化し、案件所轄官庁並びに国税・地方税当局に周知徹底願いたい。
 

※経由団体:各個社の意見がどの団体を経由して提出されたかを表したものであり、表示団体を代表する「主張」「総意」等を意味するものではありません。
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