中国における貿易・投資上の問題点と要望

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本表の見方
 
25. 政府調達
経由団体※
問題点
問題点の内容、国際経済法上・二国間協定上の解釈
要望
準拠法、規則、運用
日鉄連
(1) 政府調達における自国製品の優先購入 ・2009年5月26日、政府投資プロジェクトで政府調達に属するものについて、中国政府は中国国内で調達できないなど、合理的な条件が無い限りにおいて、自国製品を優先的に購入(バイチャイナ)するよう通達。輸入する場合は政府部門の同意が必要となる。現時点で法的拘束力や実際の運用規定が不明。 ・運用規定等の明確化、政府調達以外の分野への波及の回避。 ・「内需拡大による経済成長促進の着実な実施に関して、プロジェクト建設への入札・応札の監督管理業務の更なる強化を行うことについての意見」(発改法規[2009]1361号附属書)
    (対応)
・2009年12月25日、中国政府は、設備産業の独自開発を奨励する『重大技術装備自主創新指導目録』を公布した。同目録は、政府が国内産業に対し独自開発を望む240種類の設備を列挙しており、国内企業にとっての指針となる。この目録に列挙された設備は、(1)政府の研究開発、(2)製品商業化への財政優遇措置、(3)独自開発製品の政府調達政策、(4)中国で初めて製造される重大技術設備の利用において各種の優遇措置を受けられる。基本的に、同目録は、2010年公布される予定の『政府調達自主創新産品目録』がどのような内容になるかを知る手がかりとなる。
・2010年5月、政府調達国内製品管理弁法案を発表し、パブリックコメントを求めた。国内製品の定義(国内生産コスト比率50%超の最終製品)や認定方法を規定している。
日機輸
(2) WTO政府調達協定への未加盟 ・GPA協定加盟の動向・目途が不明瞭である(国営企業を除く等、対象範囲の特定を希望)。 ・最新情報の確認とご提供をいただきたい。
    (対応)
・2007年12月28日、中国はWTO政府調達協定(GPA)加盟申請とイニシャル・オファーを行った。現在はオブザーバー国である中国のGPA加盟に向けた交渉が、2008年2月に持たれ、正式に始まった。
・2007年12月、中国は政府調達加盟申請(初期オファー)を提出している。
・2008年1月15日、財政部は政府機関の調達は、基本的に自国製品を対象とし、同部の許可無く他国製品の調達行為を禁止する旨を関連部門に通達を出した。同通達によれば、政府部門が他国製品を輸入する際は財政部の一連の審査を義務付ける。政府調達は技術移転や人材育成分野を優先させ、国が輸入を制限する産業や兵器などは国家発展改革委員会、科学技術部などの意見を仰ぐよう指示している。
・2010年7月9日、中国はWTO政府調達協定加入交渉で改訂オファーを提出した。改訂オファーには、協定対象として15の中央政府機関が追加されたが、中国の政府調達市場の大部分を占める国有企業や地方政府機関は対象から除外されている。なお、適用基準額は、初期オファーよりも引き下げられている。
・2015年2月11日、WTO政府調達委員会非公式会合で、中国は、自国の政府調達協定(GPA)加盟に向けた最新改訂オファーについて国有企業の範囲拡大を求めるGPA締約国(米国、EU等)の要請を拒否した。
日機輸
(3) 政府調達政策と自主創新政策との関係不明確 ・「政府調達政策」と「自主創新」に絡む規則が複雑である。 ・最新情報の確認とご提供をいただきたい。
日機輸
(4) 入札制度の形骸化 ・設備の入札において、入札自体が形骸化しており、費用・時間の無駄が生じている。或いは公正を著しく逸している場合がある。
具体的には、落札後の価格交渉が常態化していること、買い手の意に沿わない落札結果の場合に一方的なやり直しがあることなど、一連のルールとフローが不明確である。
2014年から引き続き大きな変化は無く、改善は見られない。設備購入決定後に、入札実施が決まった場合もあり、ルールが不明確な状態が続く。
進展なし。(2018年1月時点)
・国際ルールに照らした入札規則として明文化(人治的な判断の余地を排除)し、買い手側の義務と責務も明確にして頂きたい。
    (対応)
・2014年3月3日、中国商務部、機械・電気製品国際入札実施弁法(試行)を公布。実施弁法(試行)では、国際入札に係る権限ある当局を指定し、国際入札の対象となる機械・電気製品の範囲と例外を規定して別表にHSコードを付して掲示している。
−商務部令2014年第1号【中国語】
http://www.mofcom.gov.cn/article/b/c/201403/20140300504579.shtml
日機輸

(5) 政府購買に係る過大な資料要求 ・現在の政府購買は、年に2回、海外メーカーに様々な資料の提出を要求している。日本政府当局が公開発行する会社の「現在事項全部証明書」、「代表者証明書」を提出すること以外に、趣旨が不明瞭な「弁護士の証明」も要求している。なお、加えて、日本法務局発行の公証書と在日本中国大使館発行の認証書も要求している。
日本政府当局が公式に発行する「現在事項全部証明書」、「代表者証明書」は既に権威性がある。民間の弁護士の証明や、法務局の公証や大使館の認証の必要性には疑問がある。また、年に2回も提出が必要か疑問である。中国と日本の制度の違いへの理解が望まれる。
また、上記の資料の提出期限は厳しい。中国の15日稼働日となっているが、実際は13-15日くらいでの対応が求められる。資料は現状、全て政府関係(日本政府当局・日本の中国大使館)の認証等の作業が必要とされる。年末年始の時期となり、日本の政府当局も在日本中国大使館も休みとなり対応できないことがある。
・政府購買の資料は、「現在事項全部証明書」と「代表者証明書」をそのまま提出すればよいものとし、「弁護士の証明」、法務局の公証、大使館の認証は不要とする。また年に2回ではなく、1回のみの提出とする。
・政府購買の資料提出期限を、20稼働日に延長する。
・政府調達国内製品管理弁法(未公布)の第三条、第六条、第七条、第八条
・政府調達輸入製品管理弁法
    (対応)
・2010年6月21日、日本機械輸出組合は「中華人民共和国政府調達法実施条例(意見聴取稿)」 について、財政部宛てに意見を提出した。
 

※経由団体:各個社の意見がどの団体を経由して提出されたかを表したものであり、表示団体を代表する「主張」「総意」等を意味するものではありません。
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