EUにおける貿易・投資上の問題点と要望

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本表の見方
 
22. 環境問題・廃棄物処理問題
経由団体※
問題点
問題点の内容、国際経済法上・二国間協定上の解釈
要望
準拠法、規則、運用
日機輸
日商
(1) REACH規則の不透明・対応の煩雑 ・REACH規制については解釈に不透明な点も多く、また複雑な規制となっており、規制の遵守についてのコスト、労力の負担が大きい(特に商社のような事業形態にとって)。
また、新規化合物の欧州市場への販売についてはREACH規制があるが故に域外メーカーが開発を断念することもあり、欧州ユーザーにとってもデメリットがある。

・REACH規制は過去に100件以上改正がされており、今後も新たな物質の追加等、多くの改正が行われることが予想される。常に改正情報を把握すること、改正に応じた都度対応することが求められるため負担が大きい。出荷する直前の改正などがある場合は、急ぎの対応が求められ、納期遅延に影響することもある。またREACH対応するための資料準備等、追加のコストが発生している。
・REACH規制の内容をGHS対応に統一して欲しい。
・REACH規制の改正の頻度を減らし、1年に1回決まった時期にする等、輸出者の納期やコストに影響の出ないようにしてほしい。
・REACH規制
・Directive EC 1907/2006
日機輸
(2) REACH附属書17のニッケル規制の解釈 ・REACH 附属書17におけるニッケル規制は、もともと、ピアスやネックレス等、身につける装飾具によるニッケルアレルギーを防ぐ意図で「長時間触れるもの」と規定されている。しかし、2014年に、「長時間」の解釈は「10分以上肌に接触する意図がある製品」というガイドラインが発効され、更に、2017年には、このガイドラインの改定案において、該当する製品の例示がされることとなった。その中に「楽器」が例示されており、楽器業界としては大変とまどっている。フランス楽器協会からも、フランス政府を通じ欧州化学庁(ECHA)へ意見していく、という方針を聞いている。
もともと楽器には、高価な銀材の代替材として「洋白材」が伝統的に使用されてきた。この材料はニッケルを多く含む。「音」を重視するという楽器の特性上、洋白材をメッキや塗装なしで使用する場合も多い。また、ギターやバイオリンなど弦楽器の弦の材料としても、伝統的にニッケルが多く使用されている。クロムなどの代替材はあるものの、やはり「音」の面から、ニッケルの需要は高い。このような状況において、楽器の性能を保ちながらニッケルの溶出基準を遵守することは、大変な困難となっている。
・アレルギーの問題は個人差が大きいと考えられることから、購入する人へ向けて(例えば日本のレストランや食品などで、アレルギー表示が書いてあるように)当該製品は○○を含み、アレルギーがでる場合がある・・・等の表示規制にする方が、ユーザーにとっても有用なのではないでしょうか。 ・REACH Annex XVII entry 27 (Nickel)
・Draft guideline on articles intended to come into direct and prolonged contact with the skin in relation to restriction entry 27 of Annex XVII to REACH on: Nickel and nickel compounds ,Draft of 23 January 2017, European Chemicals Agency

日機輸
(3) CLP規則への対応の煩雑さ ・CLP規制についてはGHS(Global Harmonization System:
http://www.env.go.jp/chemi/ghs/index.html)に準拠した規制にも関わらずEU独自の分類基準を導入しており、非常に混乱の多い制度。実際には運用面で各種の問題を抱えており、規制の内容をGHS対応に統一して欲しい。
規制の変更、修正も多く、都度規制内容を確認し遵守していくためにかなりの労力がかかっている。
・CLP規制の内容をGHS対応に統一して欲しい。 ・CLP規則
JEITA
日機輸
(4) RoHS指令適用除外申請の煩雑さ ・RoHS指令の「適用除外」は定期的に見直されることになっており、一般的な電気電子機器に関しては5年毎の見直しとなっている。
しかしながら、延長申請にはサプライチェーンをまたがった産業界での意見集約なども必要で、申請に至るまでのみならず、コンサルタントからの質問への対応など、長期間にわたって多くの産業界に著しい負担となっている。
更に、ELV指令においてもほぼ同じ適用除外が別のタイミングで見直されるため、大きな負担となっている。また、適用除外の整合を図る点でも課題と認識している。

・RoHSの規制除外判断となる基準が不明確であること、及び適用除外判断時期が公表日通りに遵守されない、判断延期の公表も明確ではないことより、事業活動へ影響を及ぼしている事。具体例では規制への対応をすべく緊急で生産会社、部品供給ベンダーの生産調整を行う事で混乱を招いていた。
・適用除外の見直し期間の長期間化(例えば10年)。
・ELV指令との重複適用除外に関しては、見直しタイミングを同期させる。

・判断基準を明確にする事、運営を明確にする事。
・RoHS
・RoHS指令:2011/65/EU
・ELV指令:2000/53/EC
日機輸
(5) 生産装置等の保守部品へのRoHS指令等の適用 ・ErP指令、改正RoHS指令において、要求内容の解釈が難しく、生産装置等として対象外であるにもかかわらず、保守部品として構成部品(商業用コンピュータ、モニタなど)を出荷する際には、個々に規制への適合が必要になる場合がある。 ・生産装置等で規制対象外となっている製品の構成部品を保守部品として出荷する際についても、規制適用外としてほしい。
フル工
(6) 特定の規格の認証義務 ・EU市場に製品を輸出販売するには、その製品にCEマーク、RoHS指令、REACH規則等の特定の規格を認証取得する必要がある。 ・認証取得手続きの簡素化もしくは撤廃。 ・CEマーク
・RoHS指令
・REACH

日機輸
(7) 加盟国ごとに異なる環境法制の解釈・運用 ・各国で法令の解釈・運用が異なると、産業界にとって国毎に異なる手続き、対応は容易ではない。例えばスウェーデン独自の難燃剤の含有に対する課税制度など。 ・客観性のある科学的な知見に基づき、共通の仕組みづくりの構築を進めるべきである。 ・WEEE、RoHS、REACH等の環境法規制
日機輸
(8) 日本とEUとの間の省エネ規制とラベリング制度の差異 ・ICT製品をはじめとする国際的に流通する製品の省エネルギー規制、ラベリング制度の差異はビジネスにとっての負担が大きい。追加コストにより製品価格上昇、消費者負担増にも繋がる。 ・製品の省エネルギー化を目的としている点は共通なので、少なくとも製品の試験方法、使用方法の考え方は統一すべきである。 ・国際エネルギースタープログラム
IEC/TC108
IEC/TC100
IEC/TC113など
日機輸
(9) ナノマテリアル規制 ・「ナノマテリアル」の定義、有害性についてのステークホルダー間での十分な議論がないままに規制が導入されかねない虞があることに懸念を有する。 ・万一規制が行われる場合には、客観的な科学的知見に基づき規制が正当化されることを確証のうえ、必要最低限の規制に留め企業活動に悪影響を与えないようにすることを強く要望する。 ・The European Commission Recommendation on the definition of nanomaterial (2011/696/EU)
日機輸
(10) 二重規制、規制間の不整合 ・複数の規制において、同様の化学物質が規制されたり、同一の対象に対する適用除外の考え方の不一致が場合がある。例えば、RoHSとREACHにおけるフタル酸エステル二重規制。 ・二重規制を避け、一貫性かつ整合性のある考え方に基づいた規制とすべき。かつ、必要最低限の規制に留め企業活動に悪影響を与えないようにすることを強く要望する。 ・RoHS、REACHにおける4フタル酸エステル制限提案
日機輸

(11) 過度な要求 ・On ModeおよびStandby Modeにおける省エネ基準と施行日がメーカーに対して過度な負担となる内容になっている。また、今回の改定版より追加されている資源効率要求の内容が、技術的に実現困難で、かつ当局が意図しているような“リサイクル・解体・修理の容易性向上”に寄与するものとなっていない。 ・要求基準、施行日を再考の上で、改めてTBT通報して頂きたい。
・規制検討においては、充分な影響評価を行い、また費用対効果を考慮し過度な要求にならないようにして頂きたい。
・WTO/TBT通報No. G/TBT/N/EU/433
・ErP Directive 2009/125/EC with regard to ecodesign requirements for electronic displays
 

※経由団体:各個社の意見がどの団体を経由して提出されたかを表したものであり、表示団体を代表する「主張」「総意」等を意味するものではありません。
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