ベトナムにおける貿易・投資上の問題点と要望

<-BACK
本表の見方
 
21. 土地所有制限
経由団体※
問題点
問題点の内容、国際経済法上・二国間協定上の解釈
要望
準拠法、規則、運用
日機輸

(1) 外資への土地所有の不認可 ・100%外資企業の土地所有が認められていない(共産主義国であり、自国民にも認めていないが)。
・外資はプロジェクトとして50年間土地を借りることが認められているが、ベトナムの投資者のように土地を購入したり所有することは認められていない。
但し工業団地や輸出加工区で操業し一括支払いをする外資企業は土地使用権および土地上に定着する財産について、譲渡、賃貸、転貸、ベトナム国内での営業ライセンスのある金融機関に対する抵当権設定、土地使用権による現物出資ができ、加えて、国家・住民共同体に対して土地使用権を寄付することができる。
・安定した事業運営の為に、土地所有を認めてほしい。
・賃貸期限の撤廃。
・Circular No.94/2011/TT-BTC
・Law on Land 2013
    (対応)
・ベトナムにおいて、土地は全人民所有が原則であり、個人による土地所有は基本的に認められていない。外国人法主体は、ベトナムにおける土地使用権の否定が継続されている。しかしながら、政府は外国投資企業(FIE)の形態において、ベトナムにおける外国人投資家の事業設立への土地使用権を拡大した。外国投資企業は、土地使用権の価額をベトナムの地場銀行または外国銀行の支店へ抵当に入れる権利が与えられる。土地管理総局(General Department of Land Administration)は、2002年、修正されたベトナムにおける借地契約の外国人個人及び組織の権利と義務に関する通達(Ordinance on the Rights & Obligations of Foreign Individuals and Organizations Leasing Land in Vietnam)を起草し、首相に提出した。草案は、譲渡、賃貸契約期間の拡大、及び民間個人からの賃貸契約の提供が含まれた。
・2003年11月、ベトナムの国民議会は、2004年7月1日から施行の新土地法を通過させた。修正土地法によると外国投資法に基づく外資企業は、土地使用権(「LURs」)を国からリースすることができる。
外資企業で土地をリースし、リース全期間のリース料を一括支払うものは(1) リース期間中にLURs又は土地に附属する資産を譲渡並びにサブ-リースし、(2) リース期間中に信用機関に対してLURsと資産を担保又は保証として使用し、かつ(3) 期間中LURsと資産を資本金として出資することができる。
一方、土地使用者でリース料を年次で支払うものは、その資産のみを譲渡、売却又は担保することができる。但し、外国土地使用者の多くは、この変更による便益をあまり享受できない。これら便益を享受するには、実質的に土地の購入を余儀なくされるからである。多くの外資企業にとって、単に土地のリースだけに巨額な資本前払投資が絡むので、できない相談である。従い、外国の土地使用者の多くは年次支払制度を選択する。ことに住宅資産分野への投資を検討する投資家には負担が大きいのでまったく計画を反故にすることさえ考えられる。その上、この変更は、LURsの担保を希望する外国土地使用者にとっても、土地リース料の全額前払を要する難しい問題を提起する。多くの外国土地使用者がはじめに全期間中の土地リース料を支払っていない又は支払が不能であると仮定すると、多くの外国土地使用者にとって土地を担保することができても、LURsそのものは不可能であると見受けられる。
・2013年11月29日、土地改革法案が国会で可決し、2014年7月1日発効。外国投資企業が土地に関わる投資を行う場合や不動産を使用する場合は、国家から土地使用権を取得する以外方法はない。
    (改善)
・ベトナム資源環境省は2007年11月19日、土地法(2003年改正)の施行を促進するための指令第2号(Directive No. 02/CT-BTNMT)を公布した。同指令は、各省(province)の当局が土地法の施行を加速化するために講じるべき多くの措置を規定している。具体的には、法律の拡充、教育・啓蒙プログラムの実施促進、土地法の施行に係る機関及び措置のための組織・行政上の改善などである。土地法の施行に係る法令としては、すでに2004年1月9日付け指令第5号(Directive No. 05/2004/CT-TTg)、2006年1月22日付け指令第5号(Directive No. 05/2006/CT-TTg)、2007年4月6日付け指令第9号(Directive No. 09/2007/CT-TTg)が公布されている。
・2007年1月1日に、不動産事業に関する法律63/2006/QH11が発効した。この不動産事業法に基づき、国内企業および外資系企業(FIE)は、下記の不動産事業に従事することが許可される。
1) 販売・賃貸・供与・分割払い購入のための家屋・建物の建築投資。
2) 土地の改良投資、賃貸地のインフラ工事への投資を行い、インフラを整備して土地を賃貸する。
3) 不動産仲介サービス、 4) 不動産査定サービス、 5) 不動産の立会場サービス、 6) 不動産コンサルタントサービス、
7) 不動産競売サービス、 8) 不動産広告サービス、 9) 不動産管理サービス
・2007年1月1日発効の不動産事業法(63/2006/QH11)は、ベトナム人の個人・企業は、すべての種類の不動産事業活動への従事が許可される。不動産事業活動(不動産事業および不動産関連サービス)に従事する個人・企業は、事業の登録と所定の条件を満たすことが求められる。査定・仲介に従事する個人(不動産事業のスタッフを含む)は、省の人民委員会が発行する専門業務証書が必要となる。不動産事業法における重要な点の1つは、新規の都市地区プロジェクト、住宅地区プロジェクト、工業地区技術インフラプロジェクトの譲渡が許可されることである。この法律は、新規不動産プロジェクトの譲渡に関する一般的原則として、
1) 国家関係当局の承認、
2) 譲受人である投資家は、不動産事業に従事する組織・個人で不動産事業に従事するための条件を満たしており、譲受人の義務を十分に果たすことに同意しなければならない、
3) 譲渡は契約書を通して行われなければならないことを規定している。しかし、これらのプロジェクトの譲渡に関する具体的な規定については、未だ発表されていない。
 

※経由団体:各個社の意見がどの団体を経由して提出されたかを表したものであり、表示団体を代表する「主張」「総意」等を意味するものではありません。
<-BACK
本表の見方