マレーシアにおける貿易・投資上の問題点と要望

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本表の見方
 
17. 知的財産制度運用
経由団体※
問題点
問題点の内容、国際経済法上・二国間協定上の解釈
要望
準拠法、規則、運用
日機輸
(1) 審査官の裁量による実体審査の延長期間 ・通常実体審査の庁通知に対する応答期間は、2ヶ月という短い期間。期間延長は1回のみ可能で、延長期間は出願人が希望する月数を申請する。ただし、期間延長は登録官の裁量事項であり、延長が認められるのが厳しい場合もある。出願人が延長を希望しても審査官の裁量で延長できない場合がある。 ・通常実体審査における延長を審査官の裁量ではなく出願人によって決めさせて欲しい。 ・マレーシア特許規則27(1)、27A(1)27B(2)
日機輸
(2) 通常実体審査請求後の修正実体審査への移行不可 ・通常実体審査を一旦請求すると、修正実体審査に移行することができない。 ・通常実体審査といっても、他国特許クレームに一致させる補正を要求されることが多い。よって、通常実体審査を請求した場合でも、修正実体審査に移行することを認めて欲しい。
日機輸
(3) 特許庁の審判部不在、無効審判制度不備 ・マレーシア特許庁では、審判部が存在せず異議申し立て制度、無効審判制度がない。特許の無効を求める場合は、特許所有者を相手として訴訟を提起する必要がある。 ・無効審判制度の確立をしてほしい。 ・マレーシア特許法56条
日機輸
(4) 拒絶査定、特許査定時の分割出願不可 ・特許法第26B条(1)の適用上、(a) ある出願が、特許法第26条の違反を理由に同法第30条(1)又は第30条(2)の下になされた審査に関する審査官の報告書中の異論に従い分割される場合、かかる分割の申立は、当該報告書が郵送された日から3ヵ月以内になされなければならず、また
(b) その他の場合は、出願は、出願人自身の自発的意志により、特許法第30条(1)又は第30条(2)に基づき作成された審査官の最初の報告書の郵送後3ヵ月以内に分割を申し立てることができる。(規則19A)
上記規制により、(a)拒絶査定、特許査定時に分割することができない。また、(b)最初の報告書の郵送後3ヶ月を経過した場合に分割することができない。
・出願人が自発的に分割出願することができるタイミングを増やして欲しい。 ・マレーシア特許規則19A 出願の分割
JEITA
日機輸
(5) 不明確な第一国出願義務の法令規定 ・現地開発ニーズが高まる新興国において、当該国における第一国出願義務が法令で規定されている国が依然として多いが、その法令が明確でないため、有効な知的財産権の確保が困難な場合がある。
また、多数国間にまたがる研究開発活動が必要とされる今日、複数国での第一国出願義務が抵触するリスクが懸念される。
・第一国出願義務の緩和撤廃、又は法令条文の明確な規定をお願いしたい。
・多数国間での取り決めなどにより、国を跨る研究開発への第一国出願義務の適用緩和などを推進していただきたい。
製薬協

(6) 強制実施権の発動 ・医薬品の価格低下/保険財政の問題解決を意図した強制実施権の発動の動きがある。コロンビアは、2016年に特許を侵害しないジェネリック薬が販売されているにも関わらず、強制実施権の発動を新薬の価格低下のための圧力として用いた。
マレーシアは、2017年9月に慢性C型肝炎治療薬について特許権者が自発的ライセンスの用意があることを公表したにもかかわらず強制実施権を発動した。
・TRIPS協定31条の条件を満たさない、安易な強制実施権の発動は止めて頂きたい。
・強制実施権発動の基準や手順を明確化していただきたい。
・TRIPS協定31条
 

※経由団体:各個社の意見がどの団体を経由して提出されたかを表したものであり、表示団体を代表する「主張」「総意」等を意味するものではありません。
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