EUにおける貿易・投資上の問題点と要望

<-BACK
本表の見方
 
14. 税制
経由団体※
問題点
問題点の内容、国際経済法上・二国間協定上の解釈
要望
準拠法、規則、運用
日商
(1) 移転価格税制の解釈・運用の不統一 ・欧州域内で当社グループ企業として事業推進する際に、各国の移転価格税制の適用強化が、特に文書化義務を中心として対応負荷・コスト増になっている。
また、グループ内での機能再編や集約の施策遂行に際しても、各国移転価格税制をリスク要素として認識する必要があり、慎重な検討を要している。
・欧州域内での組織設計の自由度を保障する移転価格税制の統合的運用の実現を望む。
・二重課税の確実な排除を担保する国際協調の推進を求む。
・各国税法
・移転価格税制
    (対応)
・日-EU規制緩和対話に際し、日本政府より改善要望を提示。
    (改善)
・EUは各国の税務当局の代表、主要な多国籍企業および税務専門家からなる「ジョイント移転価格フォーラム」を設立して、加盟国における移転価格の適用方法の統合のあり方を検討しており、特に多くの異なる加盟国で事業を行う多国籍企業のコンプライアンス上の負担を軽減する方法を検討している。ジョイント移転価格フォーラムでの検討結果をもとに、欧州委員会は移転価格税制に関する行動規範に関する提案を行い、この提案は2006年6月に承認された。この行動規範により、新たに標準化・集約化された「EU移転価格ドキュメンテーション」の適用が可能になった。ただし、法人グループは、特定の国において税務当局が別途要求する場合には、その国に関して個別にドキュメンテーションを準備する必要がある。
日機輸
日商
(2) VAT制度・手続・解釈の不統一 ・EU内の付加価値税制(VAT)は、各国主権に属する問題でありながらもEU指令により類似の税率、同様の課税方法で施行されてきている。しかし、なお欧州域内取引についてはリバースチャージ等VAT申告手続きが煩雑で、特に域内クロスボーダーでの取引について、取引を記帳・管理するシステム設計に細心の配慮が必要となっており、納税企業にとって大きな負担となっている。
・EU域内の外国人旅行者に対する付加価値税免税について:
−ルールの複雑さ、申告・還付手続きの複雑さ。
−域内各国のルール不統一。
−2013年9月、欧州裁判所における決定で域内各国のルール統一方針が示された。これにより、外国人旅行者に対しても、ほぼ例外なく課税される方針となった。EU域内のインバウンド旅行業者にとっては大幅なコスト増であり、EU域外業者との競争上大きな不公平が発生し死活問題となっている。また、新方針も開始時期などが現在でも必ずしも明確でなく、各国政府からバラバラに方針が出たり出なかったりしている状況。新方針の開始に当たっては、運用指針とセットで前広な告知をお願いしたい。
・EU内でのVAT税率の完全統一の実現、納税者にとって簡素な申告手続の配慮をEU主導で進めて頂きたい。
・EU各国もその流れに協調して頂きたい。
・新制度実施方針(スケジュール、実務面)の明確化。
・EU域外業者との極端な競争上の不公平回避。
・各国税法
・EU指令
    (参考)
・2007年1月より、それまでEUのVAT法制の基幹を成していた第6次VAT指令に代わって、VAT法制を法典化した新指令が発効し、その後10回にわたり改定が行われた。しかし、この新指令もVAT法制への理解を高める効果はあるが、上で指摘された問題点の解決には直接つながらない。
    (対応)
・日-EU規制緩和対話に際し、日本政府より改善要望を提示。
・VAT新システムに向け、電子化への対応、域内での調和を目指した様々なVAT関連法規の改正が提案されているが、原産国・提供国での課税実施は長期的な最終目標との位置付けは変わらない。
日商
(3) インターネットを利用した越境販売 ・EU域内においては、各国でVATの税率が異なるため、希望小売価格の統一が困難である。また、小売店のインターネットによる販売活動が一般化し、国内のみならず国外向けに販売するケースが顕著化しているが、VATは売主所在国の税率が適用される為、VATの高い国の消費者(ドイツなど)は自国の正規販売ルート経由ではなく、VATの低い国(アンドラなど)からインターネットで購入する傾向がある。これは我々のマーケティング方針への障害となっている。因みに、本来は消費者が自国のVATを支払う義務があると理解しているが、実際申告している消費者がいるとは思えず、現状を放置することはEU各国の税収漏れに繋がっていると懸念する次第。 ・EU域内におけるインターネット販売に関して何らかの制限を加えるか、VATの高い国の消費者が低い国のネット販売を利用した際に自国のVATを支払うことを義務化してほしい。
フル工
自動部品
日商
(4) 出口税(Exit Tax) ・新しくLegal-Entity(法人)を新設し、帰属していたカスタマーベースを移した場合などに発生する税。国同士の複雑な関係性もあり、確実性のある契約に基づく売買ができないケースがある。
コンサル等に有料で相談しているが、多大な費用が発生している。
・法に基づく運営を行う為の無料相談窓口を新設等考慮頂きたい。
日機輸

(5) 短期就労者に関する報告 ・EU内では、会社は非居住者の訪問日数を記録することになっている。非居住者が60日を超えその国にいる場合は、会社は日数を調べ、現地の税務当局に通知する必要がある。更に183日を超える場合は、所得税を支払う必要がある。 ・(一部の国では暦年の報告、他の国では異なる期間を使用する)ルールを簡素化する。
・183日を超えた場合に、初めて当局に報告する等、税務当局への報告基準を簡素化する。
・All EU countries
 

※経由団体:各個社の意見がどの団体を経由して提出されたかを表したものであり、表示団体を代表する「主張」「総意」等を意味するものではありません。
<-BACK
本表の見方