ベトナムにおける貿易・投資上の問題点と要望

<-BACK
本表の見方
 
14. 税制
経由団体※
問題点
問題点の内容、国際経済法上・二国間協定上の解釈
要望
準拠法、規則、運用
JEITA
日機輸
日商
(1) ベトナム国内サービス提供への外国契約者税賦課 ・D term(DDP DAP等)条件など、外国企業の負担によるベトナム国内輸送を行う場合、FCT(Foreign Contractor Tax: 外国契約者税)として販売金額の全体に対して1%が課税される。これは外国企業のベトナム国内での活動を制限するものである。
・日越租税条約上、同国にPEを有していない場合、ベトナムに課税権は無いにも拘わらず、”Not True Beneficially Owner”としてFCT(Foreign Contractor Tax = 外国契約者税支払)が課税されるケースが存在する。
・ベトナム企業にサービスを提供した場合、販売金額に対して5%、ロイヤルティに対して10%のFCTが徴収される。
また、ベトナム企業側がFCT分を引かずに売上入金してきたことがあった。(その後返金するなどの処理が発生するなど、取引が煩雑)
・日本人出向者の人件費を本社が出向者に支払、現地法人が本社に戻入する形式を取ると、出向協定を結んでいても人材派遣の名目で外国契約者税を課税される恐れがある。
・FCT撤廃。
・ベトナム税務当局に対して外国契約者税の適切な改正・運用を依頼して頂きたい。
・FCTの撤廃。
・駐在員を派遣する際の手続き・規制を明確にして頂きたい。
・2008年12月31日付けCircular134/2008/TT-BTC
・2012年4月12日付けCircular60/2012/TT-BTC
・Nil
    (対応)
・2012年4月12日、外国契約者税に関する新たなガイドラインCircular 60/2012/TT-BTCが公布され、外国契約者税は、ベトナム国内に法人を有さない個人や外国組織が、ベトナムの個人または法人などとの契約に基づく経済活動で得た利益に対して課せられる税であるが、本ガイドラインで課税対象取引に「(On the spot輸出入取引/DDP、DAT、DAP条件を含む)」が追加されたため、インコタームズのDDP、DAT、DAP条件で輸出販売する日本法人に対して、契約書記載の金額(輸入申告価格)に「みなし法人税」の1%を源泉徴収されるケースが増えている。外国契約者にとって、所得に対して居住地国で法人税を課された上に、ベトナムでも外国契約者税で法人税を課されるのは「二重課税」であること。Circular 60では「外国契約者がベトナムに恒久的施設を有しているか否かにかかわらず課されるもの」(第1条)と定められており、ベトナムに恒久的施設を有していない日本法人の事業活動から生じる所得への課税は、日越租税条約違反であるが、実務上は、インコタームズをDDPなどから工場渡し(EXW)に変更する日本企業が増え始めているとのこと。(2013年9月25日付JETRO通商弘報)
日機輸
(2) 移転価格税制におけるマスターファイル作成期限と言語 ・マスターファイル(MF)は会計年度終了後90日以内となっており、子会社が12月決算の場合、3月末に同文書を作成しなければならず、他国と比べ異常に短期間である。また、言語はベトナム語でなければならない。 ・期間の宥恕規定をお願いしたい。
・言語は英語も可としてほしい。
・移転価格法令(No. 20/2017/ND-CP(Decree 20))
日機輸
(3) 日越租税条約に違反したPE課税 ・日越租税条約第5条第3項にて、6ヶ月を超える期間存続する「建築工事現場若しくは建設、据付若しくは組立ての工事又はこれらに関連する監督活動」がPEを構成すると定義されているが、ベトナム国内法(Decree No. 59/2015/ND-CP)では上記工事関連業務を履行するには期間に関わらずライセンス取得・事務所(PE)登録を義務付けている。これにより、租税条約上のPEに該当しない6ヶ月未満の短期工事関連業務もベトナムでは課税対象とされ、租税条約上の恩恵を享受できない。 ・国内法改定による租税条約との矛盾解消。 ・日越租税条約第5条第3項
・ベトナム政府政令Decree No. 59/2015/ND-CP
JPETA
(4) 債務者主義採用による駐在員事務所における使用料の源泉徴収義務 ・日越租税条約において使用料の所得源泉地として債務者主義が採用されていることにより、駐在員事務所で賃借している車、コピー機の使用料に源泉徴収義務が生じている。
一方、現地業者から日本国の税金負担の理解は得られず、納税義務者である当社の負担にならざるを得ない状況になっている。
・租税条約上の債務者主義撤廃による使用料の源泉徴収義務の廃止。 ・日越租税条約
JEITA
(5) 一部仕入VATの還付の不認可 ・12ヶ月連続又は四半期連続で控除できない仕入VATがある場合は還付申請ができたが、2016年7月の改正法では当ケースにおける仕入れVATの還付が認められなくなった。これによりVAT免除となっているEPEと取引を行う際、VATの請求ができなくなってしまうため、トレーディングカンパニーの立場ではVATの還付されないVAT10%を負担(もしくは販売価格に10%をON)しなければならないという問題が発生することになる。 ・この問題の発生により、材料、部品メーカーで現地で商社機能果たすメリットがなくなり、直接顧客をサポートするという形態が取り難くなる。是非とも撤廃していただきたい。 ・Law106/2016/QH13
・Decree100/2016/ND-CP
・Circular130/2016/TT-BTC
日機輸
(6) 改正税法の遡及適用 ・税法改正を実施時期を過去に遡って実施されるケースが依然として残っており、現場が混乱するケースがある。 ・税法改正の過去に遡っての実施はやめて貰いたい。
日機輸
(7) 税制通達の地方当局への周知遅延 ・税制通達が、頻繁に国から発行されるが、その案件について地方の税務当局に質問をしても、そもそも発行されていることさえ知らされていない場合がある。 ・税務当局の地方までの情報伝達方法の確立と教育をお願いしたい。
日製紙

(8) 所得税把握時期に関する懸念 ・担当者の現地赴任が6月であったにも関わらず、4月に事前出張をしたため、所得税を4月から計算されてしまう懸念有りとのコンサルのアドバイスに従い4月分から納付したが、行政側の運用が不透明。 ・日本との租税条約等における法制度、運用ルールの整備。
 

※経由団体:各個社の意見がどの団体を経由して提出されたかを表したものであり、表示団体を代表する「主張」「総意」等を意味するものではありません。
<-BACK
本表の見方