ブラジルにおける貿易・投資上の問題点と要望

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本表の見方
 
12. 為替管理
経由団体※
問題点
問題点の内容、国際経済法上・二国間協定上の解釈
要望
準拠法、規則、運用
JEITA
化繊協会
日機輸
日商
(1) 海外送金許可手続の煩雑・遅延 ・ブラジル赴任者の本国国内残留家族に対して生活費を送金する際、受取人が扶養家族であることを記した念書が必要であり、さらに銀行によっては戸籍謄本の提示や、送金者の所得証明書の提示も要求される。
・海外送金に際して、根拠となるROF証明書類の提示が求められる。書類不備で送金ができないケースがある。
・配当、元利金の支払(インタコローン)には、ROF(融資操作登録)の申請・取得が必要。取組み銀行経由の資本取引にROF番号が参照される。
・海外での現地調査活動などの業務委託に対して、対価を予算ベースで支払って年度終了後に実績ベースでプラスマイナスを補正している。中国・ブラジル等では支払不足の場合は追加で日本円を送金できるが、支払過剰の場合は現地通貨を日本に送金できず、翌々年度の予算で調整となる。
・銀行による送金受付手続きの統一。中銀規制上は扶養家族である旨の念書のみ提出すればよいはずであり、追加資料(戸籍謄本、所得証明書等)の提出は廃止するよう明確化して欲しい。どうしても追加資料の提出が引き続き必要な場合には、ブラジルで取得困難なもの(戸籍謄本等)について、代替書類で対応できるようにして欲しい。
・根本的にブラジルの規制の緩和(撤廃)を望む。

・手続きの簡素化して頂きたい。
・外貨送金がきわめて困難のため、送金の規制を緩和してほしい。
・中銀規制(CIRC1,533 CIRC2,685)
・決議1214/11
・Instrucao Normativa RFB 1645/16
    (対応)
・ブラジルは、レアルプラン導入後も外貨の流出を中央銀行が厳しく管理しており、各種外貨送金(資本金利益の配当、借入金、技術移転対価、輸入決裁対外投資)には、要件に応じて規制がかけられており、いずれの場合にも、取引内容を説明、証明する書類(課税対象取引の場合は納税証明)を提出義務が課せられており、送金可否の判断は、外為公認銀行、中央銀行が行うという制度となっている。
・外為公認銀行は、顧客の為替取引の妥当性を確認し、中銀に報告する義務がある。顧客の為替取引は中銀外為規定類集(CNC)に記載されている締結可能な取引目的に適合する必要がある。
JEITA
日機輸
(2) 為替予約市場の未発達 ・為替先物市場が存在しないことから、NDF等の限られた為替ヘッジ手段に頼らざるを得ない状況。また、コストが高い。
また、ブラジル企業はブラジル国内銀行以外とNDF等の取引が不可。
・為替予約市場の創設。 ・Sem alteracao
JEITA
電線工
日機輸
(3) 債権債務のネッティングの不可 ・対外債権・債務のネッティングが認められていない為、決済に双方向送金が必要。 ・ネッティングの解禁。
日機輸
(4) 急激な為替変動 ・為替による購入コストの上昇により、価格競争力が低下する。 ・為替安定化。
    (対応)
・2013年6月4日、ブラジルのマンテガ財務相は、期間半年から1年の海外からの借り入れに関して、IOF税の撤廃(6%から0%に引き下げ)を発表(翌5日より適用)。レアル安を抑制する狙い。
・レアルの対米ドル為替レートは、2014年12.5%下落したが、2015年(9月)は50%近い大幅な下落となっている。
・2016年の年初以降は上昇基調で推移し、2016年11月初旬の米国大統領選挙でトランプ大統領が勝利した直後は、一時的にブラジルを含む新興国からの資金逃避傾向が高まったことで下落したものの、その後は世界的な株高やブラジルの景気回復期待を背景に上昇基調となった。2017年3月以降は再度下落傾向になり、5月半ばにテメル大統領の汚職隠蔽疑惑が報道されると大きく下落、7月以降は主に財政再建に対する前向きな見方やルーラ元大統領への有罪判決が好感され強含み。2018年大統領選でのポピュリスト候補リードとの世論調査や、年金制度改革法案の投票の遅れが嫌気され、レアルは軟調推移。
・2018年12月に入り、米中通商摩擦の激化、それに伴う米中景気の減速懸念が強まる中、米国が利上げを継続するとの見方が広がり、新興国通貨が全面安となりレアル安も下落した。2019年には、1月4日のパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の市場に配慮するとの発言や、米中通商協議の進展観測等で市場のセンチメントが好転しボベスパ株価指数が史上最高値を連日更新、レアルも安定を取り戻した。ボルソナロ政権は年金制度改革法案を発表するも、国民に負担増を迫るもので、レアルは2月22日15時現在、対ドルで3.7レアル台半ば、対円で29円台半ばと横這い推移。
日機輸

(5) 外貨保有規制 ・国内での外貨保有が一切認められておらず、輸入債務、輸出債権に関わる為替管理が困難である。
 

※経由団体:各個社の意見がどの団体を経由して提出されたかを表したものであり、表示団体を代表する「主張」「総意」等を意味するものではありません。
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