WTOに関する日EU共同ステートメント
(仮訳)

平成12年1月11日


 2000年1月11日にブラッセルにて開催された日EU閣僚会議において、双方はWTOに体現されるルールに基づく多角的貿易体制の重要性を再確認した。双方は、他のWTO加盟国と協力しつつ、WTO体制をより一層強化することにコミットした。

 21世紀に多角的貿易体制が効果的に機能し、新たな課題に適切に対応していくために、新ラウンド交渉の早期立ち上げは引き続き、WTOの優先事項であるべきである。そのために、双方は、可能な限り速やかにプロセスを元の軌道に戻すべく緊密な協力を継続していくことに合意した。

 双方は、新ラウンドの交渉アジェンダを、合意済み課題(農業及びサービス)と市場アクセスのみならず、アンチ・ダンピング等の既存のルール・規律の改善・強化、及び投資、競争、貿易円滑化についての追加的なルールの策定を含む、十分に包括的なものとすべきことについて再確認した。双方はまた、新ラウンドが、非貿易的関心事項及び有限天然資源の持続的利用や環境の側面といった要素に適切な考慮を払うよう、引き続き協力していく考えである。

 双方は、貿易、グローバリゼーション及び労働の問題に関し、全ての関連する当事者間の同問題への理解を促進するため、対話を立ち上げることを引き続き支持する。

 双方は、WTOが開かれ、透明でかつ効率的であることが、全ての加盟国の関心に効果的に対処するために重要であることにつき意見が一致した。双方は、発展の程度に拘わらず全ての加盟国の意見をより効果的に取り込むために、WTOの意思決定において、特に協議のより良いやり方を通じて、効率性と透明性との間の適切なバランスを如何にして確保するかについて、他のWTO加盟国とともに検討を行っていく。

 双方は、WTOが、途上国の積極的な参加を確保するとともに、途上国の関心に適切に応えるべきであると信じる。このことは、多角的貿易体制を強化するものである。双方はまた、この関係で、既存のWTO協定の実施、市場アクセスの改善、キャパシティー・ビルディングのための技術支援に関連する課題の重要性を強調した。双方は、後発開発途上国を原産地とする実質的に全ての産品に対して、無関税・無枠の待遇を供与し実施するとの、後発開発途上加盟国に対する特恵的な市場アクセスのイニシアティヴを、他の先進加盟国と共に推進することについて合意した。

 双方はまた、経済界、消費者、その他の非政府組織を含む、WTOの外部の関係者の正当な関心に、バランスのとれ透明性のある形で応えるとのWTO加盟国の主要な責任を強調した。また、多国間レベルにおいても、情報へのアクセスをより容易にすべきである。

 双方はまた、新規WTO加盟国を歓迎し、現在加盟申請中の国の早期加盟を支持する。

 双方は、農業とサービスについての交渉は、合意済み課題として、WTOにおいて早期に開始されるものと認めた。双方は、農業協定第20条に基づいて行われる農業交渉において、農業の多面的機能に関し双方に共有される関心事項を追求することに合意した。双方はまた、サービス貿易一般協定(GATS)第19条に基づき行われるサービス交渉において、漸進的に一層高い水準の自由化を達成することに合意した。

 日本とEUは、他のWTO加盟国に対して、新ラウンドの早期立ち上げに向けた双方の建設的な努力に加わるよう呼びかけるとともに、受入可能で十分包括的な交渉アジェンダの策定のためのマイク・ムーア事務局長の努力を支持する。